銚子市の「紀国人移住碑」 先祖の功績称え、子孫の交流も

 前号では、今から350年以上前に千葉県銚子市の外川(とかわ)集落を整備した、和歌山県出身者の崎山治郎右衛門の功績について取り上げた。

 和歌山県からの移住者が多い銚子市では、移住者の子孫らによる交流が盛んで、先祖の功績をたたえる活動が今も積極的に行われている。今週は、銚子市に建つ、移住者の功績をたたえる石碑を紹介したい。

 銚子市の中心部にある妙福寺の境内にそれはある。広い境内の一角に「紀国人移住碑」と刻まれた石碑が建ち、「銚子港もと海浜の一僻地、今日の繁栄はひとえに我が紀国人の開拓の功による」とある。

 石碑を建てたのは和歌山県出身者の子孫らにより結成された「木国(もっこく)会」という親睦団体による。同会は発足から100年以上の歴史を持ち、現在も200人もの会員がいるという。この石碑は明治36年に建てられ、毎年5月、この石碑の前に会員が集まり慰霊祭を開くという。

 同会の会員で、先祖が広川町出身の女性に話を聞くことができた。「ご先祖様のおかげで今の私たち、今の銚子があると思う。子孫が交流し和歌山とのつながりを認識し合い、この歴史を後世に伝えていきたい」

 自らの出身地という縁で集まる県人会とは異なり、先祖が和歌山県出身という和歌山とは少し遠い関係でありながらも、誇りと和歌山への愛着を強く持たれていることが何より感慨深い。
    (次田尚弘/千葉)

「紀国人移住碑」(千葉県銚子市)

「紀国人移住碑」(千葉県銚子市)