娘と母親を殺害した無職女逮捕

13日午前中に和歌山市中之島のパート従業員、川口順子さん(56)宅で、順子さんと、孫で小学4年の未結ちゃん(9)の遺体が発見された事件で、和歌山東署は、未結さんの母親である無職、由紀恵容疑者(35)を殺人の容疑で緊急逮捕した。
同署によると、同日未明、由紀恵容疑者は2人をロープ様の物で締めて殺したという。2人の遺体は布団に寝ているような状態だった。午前9時50分ごろ、由紀恵容疑者の知人から、和歌山北署へ「由紀恵さんが2人を殺したと言っている」と通報があり、和歌山東署が引き継いで遺体を発見。午後11時30分ごろ、由紀恵容疑者から北署の由紀恵容疑者の知り合いである捜査員に「今難波にいる」と連絡があり、午後零時45分、県警本部刑事一課署員が同市東蔵前丁の南海和歌山市駅の構内で、由紀恵容疑者を発見し緊急逮捕した。
由紀恵容疑者は落ち着いた状態で、「2人は私が殺した」と容疑を認めているという。
近所に住む男性(82)は、「未結ちゃんはしっかりしたいい子で、順子さんは見た目大人しそうやけど晩に働きに出とったな。由紀恵さんは、家の近くの駐車場でよく長いこと電話してたわ。3人がもめているような雰囲気は感じられなかったけど、なぜなんやろ」、また未結ちゃんがよく遊びに訪れていたという店の女性店員(51)は「未結ちゃんは人なつっこいかわいい子だった。学校の帰りに声かけてくれてね。最近顔を見てなかったけど、かわいそうに...。信じられへん」と声を沈ませていた。
14日、東署の司法解剖の結果、未結ちゃん、順子さんとも頸部圧迫による窒息死だと判明した。

娘が通う小学校長は涙で会見
未結ちゃんが通う中之島小学校の横瀬勤校長は学校近くの公民館で記者会見に応じ、「信じられないという気持ち。朝、おはようございますという元気な声であいさつしてくれた未結ちゃんがこんなことになるとは」と声を詰まらせた。
横瀬校長によると、未結ちゃんはクラスのみんなから好かれる存在で、活発で優しく、礼儀正しい女の子だったという。前日にも普段と変わらず登校し、5月の個人面談や7月の家庭訪問では、家庭については特に変わった様子もなかったという。
横瀬校長は4年生47人に「事件に巻き込まれて亡くなった」と報告。あまりのショックに泣き崩れる児童もいたという。担任も深い悲しみを感じているといい、今後は県から派遣された心のレスキュー隊(CRT)と、すでに配置されているスクールカウンセラーとの連携で4年生を中心に家庭訪問を行うほか、電話対応などで心のケアに当たる。
未結ちゃんは母親と祖母との3人暮らしで、4年ほど前現在の住所に引っ越してきた。3年生まで、放課後の学童保育「若竹学級」に席を置き、個人面談や家庭訪問は主に順子さんが対応していた。
事件を受け、和歌山市の大江嘉幸教育長は「残念無念。憤りも含め、なぜというのが正直な気持ち。児童の心のケアを最優先に対応し、今後も学校や地域、家庭で子どものすこやかな成長を願いたい」とコメントした。