2009年05月02日

00.社会

土に触れられる喜びを

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イチゴを摘む子どもたちを笑顔で見守る井上さん

和歌山市永穂の農家井上安子さん(59)は、地域の幼稚園や保育園の子どもたちに畑の一部をイチゴ狩りやジャガイモ掘りなど収穫体験の場として提供している。井上さんは平成18年に、県が優れたリーダー的農家に与える称号「地域農業士」に認定されており、「子どもたちの笑顔が何よりの励み。体力が続く限り続けたい」と話している。

幼稚園に通う孫がいる井上さんは2年前、地域農業振興のため「イチゴ狩りなら小さな子どもでも参加できる」との思いで活動を開始。イチゴ500株を約100平方mに、ジャガイモの種いも20キロを約300平方mに植え、子どもの収穫用に準備しながら、1年ほど前から開放した。昨年はそれぞれの収穫体験を合わせて6回開き、地域の子どもたち延べ173人を招待した。
イチゴは露地栽培、太陽の光と水で無農薬で育てている。株間の幅を広く取ったり、通路を平らにするなど子どもたちが安全に利用できるよう工夫されている。隣接するガレージ内に、子どもの身長に合わせた自作の長いすや作業台を用意したほか、水道を引き洗い場も設けている。
先月30日は、ことし1回目の招待。同市宇田森の東洋保育園(中野和代園長)の子どもたち30人が訪れ、元気いっぱいにイチゴを収穫。ガレージは、甘いにおいと、イチゴをほお張る笑顔で溢れた。「自分で採ったからおいしい」「いちごは木じゃなかったね」などの会話も聞かれ、中野園長は「自然体験ができる場所が少なくなり、地域でこのように提供いただけるのは、本当にありがたい」と話していた。
イチゴが苦手だったが、井上さんの畑を訪れてから食べられるようになった女の子もいるといい、園児からのお礼の手紙に井上さんは「みんな孫のようにかわいい。私の宝物です」と笑顔。「最近は市販のパックされたものしか知らない子どもたちも多いと思います。土に触れて喜びを感じられる年齢に、身近なところから自然体験を深めるきっかけになれば」と話している。



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