クラシックを身近に 本紙連載100回記念

和歌山で演奏会を開く音楽家らが執筆する本紙毎週木曜付「とらふすクラシック」の連載100回記念コンサートが21日、和歌山県和歌山市本町のフォルテワジマ大ホールで開かれ、約220人がクラシック音楽を身近に楽しんだ。10月に初開催される「きのくに音楽祭」のプレコンサートと位置付け、出演者は全てボランティア、入場料の代わりに寄付を募り、収益は全て同音楽祭の運営に寄付する。

コンサートでは、連載の題字を担当する書家の山﨑瀟さんが「皆さんが平穏無事に暮らせるように」との願いを込めて、「無事」の2文字を舞台上で書き、連載に登場してきた8人の演奏家が多彩なクラシック音楽を演奏した。

第1部は、この日が334回目の誕生日のJ・S・バッハの楽曲を、金谷幸三さんがギター、山名敏之さんがチェンバロで奏でた。

第2部は「きのくに音楽祭への誘い」と題し、紀州徳川家第16代当主・頼貞が集め、現在は県に寄託されている音楽資料コレクション「南葵音楽文庫」にゆかりのある作曲家・パーセルの歌曲をソプラノ歌手の谷野裕子さんが山名さんのチェンバロ伴奏で歌い、ピアニストの瀧本裕子さんのベートーベン、金谷さんとフルート奏者の岡本万貴さんによる武満徹、同音楽祭プロデューサーのピアニスト・宮下直子さんによるプロコフィエフの演奏が続いた。

第3部では、バッハと同じ誕生日で、生誕180年を迎えたロシアの作曲家・ムソルグスキーの代表作、組曲「展覧会の絵」を、碇理早さん、山名さん、上野絵理子さん、瀧本さん、宮下さんの5人がピアノで弾きつなぐ新しい試みが披露された。

来場者からの寄付と、会場で行われた物販の収益は合わせて21万8000円となり、記念コンサート実行委員会の梅田千景・和島興産社長から、きのくに音楽祭の高橋巧二実行委員長に寄付金として贈呈された。

梅田社長は「これからも気楽にクラシックが聞ける環境をつくっていきたい」と話し、高橋実行委員長は「たくさんの寄付と出演の演奏家の皆さんに感謝したい。寄付は有効に使いたい」とあいさつした。

出演した8人の演奏家の皆さんと梅田社長(左から6人目)、高橋委員長(同7人目)

出演した8人の演奏家の皆さんと梅田社長(左から6人目)、高橋委員長(同7人目)