「みんなが違う」に理解を 人形劇オレンジキッズ

子どもの障害や病気について理解を広める活動をする人形劇団「オレンジキッズ」が、発足から15年を迎えた。人形劇を通して、一人ひとりの良いところに気付き、ありのままに自分や相手を認め合う心を育もうと、和歌山県内を中心に活動している。12日には和歌山市栄谷の和歌山大学で、教員を目指す大学生らを対象に上演した。

オレンジキッズは2009年、障害児・病児教育が専門の和歌山大学教育学部、武田鉄郎教授の研究室で学んでいたOBやOGらで結成したグループ。現在は同研究室以外の会員も増え、学校教諭、保育士、看護師、保健師、学童保育指導員など24人が所属。県内の学校や地域に出向き、障害や病気があることでどんなことに困っているのかをテーマに人形劇で発信している。

この日は、教育学部の特別支援教育の心理学授業の一環として実施。約30人の学生の前で、発達障害児やその親、教師らに聞き取りをして作った「こまっているのはだあれ~見方を変えれば味方になる」を上演した。

物語の主人公は感覚過敏、ルールが分かりにくい、こだわりが強いなどの傾向がある小学校3年生のユウ。音に過敏で、リコーダーの音が苦手、味覚過敏でトマトが食べられない。クラスメートはその行動をわがままだと批判しユウは学校を休んでしまう。ある日の学級会、聞こえ方、見え方は人それぞれ違うことに気付いたクラスメートは、ユウのつらさを理解し始め、困っていることを解決していくという内容。

岡本光代代表は、劇中では発達障害という言葉を使わず、「みんなと違う」のではなく、「みんなが違う」ことを理解の糸口になるよう伝えていると話し「相手のつらさ、しんどさを知ると優しくなれる。言葉で説明するより、場面を見せて自分たたちで考えてもらうことが大事。誤解されている子どものことを、この劇で理解してもらいたい」と学生に伝えた。

教育学部教育実習委員の竹澤大史准教授は「人形劇は楽しいだけでなく、子どもがそれぞれの立場に立って考え、気付ける学習の場になることを学生に学んでほしい」と話した。

特別支援学校の教師を目指す3年生の竹下知歩さん(20)は「子どもたちがそれぞれの違いに気付いて、お互いに気遣い、理解し合えるよう声をかけられるようになりたいと思った」と新たな将来の目標を掲げていた。

同劇団への公演依頼や問い合わせは事務局(℡090・9879・8007、メールorangekids.wakayama@gmail.com)。

学生に人形劇への思いを話すメンバー

学生に人形劇への思いを話すメンバー

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