「たくさんの笑顔」を市政に 尾﨑和歌山市長が始動

和歌山市の新市長に尾﨑太郎氏が8月25日、就任した。市議1期、県議6期、27年の豊富な地方政治の経験を生かし、9日投開票の市長選で6候補による激戦を制して初当選。選挙戦から一貫して掲げてきた「たくさんの笑顔で和歌山市を元気に」の実現、具体化に向け、内川の浄化や地域産業の振興、和歌浦湾の一体的な観光振興などの政策を柱に、市民に開かれた市政運営を目指す。

市長選には尾﨑氏の他、元県議や元市議、元市長らが名乗りを上げ、混戦となったが、尾﨑氏はただ一人3万票を上回る得票で、他候補に7000票以上の差をつけた。かつて市長を務めた父・吉弘さんの教えに従い、支持者を地道に訪問する活動を2万軒以上続けたことを最大の勝因に挙げた。
新市政のかじ取り役を決める選挙に市民の関心も前回より高まり、投票率は37・04%(前回31・54%)に上昇した。
市役所に初登庁した25日、幹部職員への訓示式で尾﨑氏は「これから私は和歌山市丸の指揮を執ります。どちらの方向へこの和歌山市丸が進むか、私が指示をいたします。そして、その全責任を私が負う」と述べ、行政運営の全責任を担う覚悟を表明。その上で「和歌山市丸を実際に操船し、動かしてもらうのは職員の皆さまです。それぞれの持ち場で一層奮闘していただくようお願いします」と協力を呼びかけた。
市民を笑顔にする政策を実現する「チーム市役所」づくりを重視し、まず職員との信頼関係の構築に力を入れ、「一緒に苦労も喜びも分かち合い、チーム一丸となって和歌山市のために頑張ってまいりたい」と話す。
訴えてきた政策の柱の一つは、市内を流れる内川の浄化。「きれいな水辺に人は集まる」との思いから、内川の水質を改善し、市民が散策したくなる場所にすることにより、食事などを提供しようという投資が生まれ、さらに観光客らも楽しめる、にぎわう中心市街地になっていくと考えている。内川が流れ着く和歌浦湾に豊かな干潟を再生していくことも視野に入れている。
産業振興と雇用創出に向けては、既存の地場産業のブランド化や新たな生かし方を構想している。
全国シェアの約4割を占めている「和歌山ニット」については、岡山県倉敷市のデニムストリートを例に、原材料としてだけでなくニット製品としての和歌山ブランドを確立し、「品質の良い、おしゃれなデザインのTシャツなどを直接販売できる『ニットストリート』のようなものをつくりたい」と考えている。
内川浄化や和歌浦湾振興

化学産業の集積を生かし、得意分野が異なる各事業者をつなぎ、新たな課題やニーズを掘り起こして、和歌山から新製品を生み出していく環境づくりも進めていきたい。
観光振興では、加太・友ヶ島から大崎(海南市)付近までを含む沿岸地域を「グレイター和歌浦湾」と捉え、一体的な開発を構想。県議時代からすでに、ラグジュアリーホテルの誘致を進め、このホテルを人気コンテンツのキャラクターホテルにしようと取り組んでいることを明らかにしている。
政策の財源確保については、国が単年度ではなく複数年度で予算を考え、戦略的な投資を進める方針を示したことを受け、GX(グリーン・トランスフォーメーション)をはじめ、「国の施策に和歌山市が乗っていき、ついていける体制を市役所で構築して、大きな政府の投資を逃さず和歌山に持ってこられるように頑張らないといけない」と意気込む。
市役所改革では、許認可や各種手続きの迅速化、キャッシュレス決済の導入といったDX(デジタル・トランスフォーメーション)化の遅れを課題に挙げ、取り組みの推進に意欲を見せる。
職員には、市民や市を訪れる事業者などと接する際に「親切を心がけていただきたい」と要望し、「和歌山市の職員は親切だな、と市民に言ってもらえるようになれば、これほどの喜びはない」と、市民に愛される行動を期待する。
「市民には『太郎ちゃん』とか、そんなふうに呼んでいただけるような気さくな市長になりたい」と話す尾﨑氏。「市長室にいるのではなく、市長室を飛び出して、和歌山をセールスしていきたい」と、市のためにフットワーク軽く仕事に飛び回っていく市長を目指す。
始まったばかりの尾﨑市政で、和歌山市はどう変わり、どれだけ笑顔が増えていくのか。市民は注目している。
【尾﨑太郎(おざき・たろう)】
1965年、和歌山市生まれ。61歳。県立桐蔭高校、学習院大学法学部を卒業。野村証券勤務の後、父の選挙活動への参加を機に政治の道へ。和歌山市議1期を経て、2003年に県議となり、6期務めた。26年8月9日実施の和歌山市長選で初当選し、第16代市長に就任した。


