カスミサンショウウオ展示中 こども科学館
絶滅危惧の希少な生物、カスミサンショウウオが、和歌山市立こども科学館(同市寄合町)で飼育、展示されている。同館は2年前にカスミサンショウウオの生息地を市内で発見。以降、環境保全のため、卵をかえして育て、生息地に返す取り組みを進めている。
同館によると、飼育を始めた1年目は失敗し、成体まで育たなかったが、2年目は育成方法の調査、研究により、生後1週間は生餌しか食べないことなどが分かり、1年かけて成体まで育てることに成功した。
カスミサンショウウオはサンショウウオ科の有尾類で、環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、良質な水が湧く森に生息している。水中に産卵し、1度に100個以上の卵を産む。生後1週間は生餌しか食べないため、飼育時はイトミミズなどで餌付けしたという。2週目以降は生餌以外も食べるようになり、3カ月でえら呼吸から肺呼吸に変化し、幼体となって陸へ上がる。さらに半年かけて成体に成長してからは、土の中など湿った場所に生息し、再び生餌を食べるようになる。同館では成体にダンゴムシを与えている。
現在は成体と、ことし卵からかえした約30匹の幼体が飼育されている。展示は同館3階生き物コーナーで約1年間を予定し、ニホンイモリや淡水魚のメダカなども併せて見ることができる。
同館の土井浩事務長は「子どもたちには和歌山に素晴らしい自然があることを知ってほしい。さまざまな生物の生態を知って、自然を大切にする気持ちを持ってもらえたら」と話している。
開館時間は午前9時から~午後4時半まで。小中学生150円、大人300円(土曜日の午前中は小中学生無料)。問い合わせは同館(℡073・432・0002)。