視聴覚障害者に情報を 県施設がオープン

視覚や聴覚に障害のある人への情報支援の拠点となる「県視聴覚障害者情報提供施設」が、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛内にオープンした。目の不自由な人のための点字図書館と、耳の不自由な人のための聴覚障害者情報センターの機能を併せ持った県の施設。情報のバリアフリーを目指し、さまざまな面で社会参加をサポートする。

これまでは県身体障害者連盟の会館(同市駿河町)内で情報支援を行ってきたが、建物の老朽化と耐震性の問題から移転を決め、県が整備を進めてきた。

5階の県点字図書館は点字図書約9600冊、録音図書約5000巻を所蔵。インターネットの情報システムで全国とつながり、ボランティアらが製作した録音図書などの貸し出しやリクエストが可能。点字製版機や印刷機を備え、図書の製作もできる。

6階の県聴覚障害者情報センターの交流サロンには、難聴者が話を聞き取りやすいよう床下に磁気ループを設置。筆談のためのホワイトボード状の机を設けるなど、配慮がなされている。また、手話や字幕を入れた映像を編集できるスタジオも備えている。

4日に同所で行われた開所式で、仁坂吉伸知事は「県としても中身を充実させ、視覚障害の方や聴覚障害の方の自己実現のお手伝いができる施設にしていきたい」。同施設の指定管理者で、県身体障害者連盟の渋田年男会長は「このセンターが情報発信の基地となるよう頑張っていきたい」とあいさつした。

関係者への施設案内もあり、県視覚障害者福祉協会の北口豊副会長(62)は「情報弱者といわれるわれわれにとって、施設の充実は喜ばしいこと。公共施設に入ったことで、社会への啓蒙(けいもう)にもなれば」と期待を寄せた。

施設では手話通訳や要約筆記養成などの研修会の開催や、点訳など各種ボランティアの募集を随時実施。バリアフリー映画の上映なども予定している。

文字を書いて会話できるホワイトボードの机も

文字を書いて会話できるホワイトボードの机も