デゴイチ和歌山で復活へ 有田川町に搬入
鉄道ファンならずとも高い知名度を誇る日本の蒸気機関車の代名詞、「デゴイチ」の愛称で知られる人気車両「国鉄D51形蒸気機関車」が和歌山で復活する。長年保管されていた機関車の整備や試験走行などを行うため、18日午前8時ごろに有田川町徳田の有田川鉄道公園に搬入される。
町商工観光課によると、今回搬入される機関車「D51 827」は、愛知県あま市で個人が所有していたものを、超大重量物の輸送業務などを手掛けるアチハ㈱(本社=大阪市住之江区)が譲り受け、走行できる状態に復活させることを目指している。車両の動力には石炭や火を用いず、圧縮空気を使用することで、より安全に、煙の影響などを心配せずに運行できるようにするとしている。
「D51 827」は昭和18年に旧鉄道省(国鉄の前身)浜松工場で製造され、同21年末から48年末までの27年間にわたり稼働した。高さ3・98㍍、幅2・93㍍、長さ19・73㍍。重量は機関車が78・37㌧、炭水車が22㌧となっている。
整備作業が行われる有田川鉄道公園は、旧有田鉄道金屋口駅構内を整備し、平成22年3月に開園した施設。約400㍍の線路と車庫、展示施設の鉄道交流館などを備える。
18日はクレーンなどを用いて機関車の線路への搬入を行う予定。整備中のデゴイチの姿を見ることができるまたとない機会であり、多くの鉄道ファンらの来園が期待される。園内は公開されるが、安全確保のために立ち入り制限区域が設けられ、見学や撮影などは必ず担当者の指示に従うよう呼び掛けている。
整備や試験走行に要する期間は未定だが、整備完了後は、来園者が利用できる体験メニューなども実施する予定。
また、アチハは鉄道文化遺産である蒸気機関車を新たな形で未来へと引き継ぐプロジェクトに取り組んでおり、D51以外の蒸気機関車も整備・運用するとしている。整備作業は有田川鉄道公園内で行う予定であり、今後、新たな蒸気機関車がお目見えすることも期待される。