被災者の思い実感 高校生が紀南で支援活動

和歌山市内の県立高校の生徒らの間でも、台風12号被災地へのボランティア支援の動きが広まっている。和歌山西高校の水泳部員ら5人は、土日を利用して10、11の両日、那智勝浦町、古座川町で家屋からの泥出しや流木の撤去などに励んだ。初日は和商、和工の同部員ら7人も同行。2日間滞在した西高3年生の下村剛士君(17)に話を聞いた。

下村君は、1年生の坂上正規君(同)、2年生の岡田良太君(16)、森本真貴君(同)、久保篤史教諭(36)と共に両町を訪ねた。災害ボランティアセンターから支援の要望がある家屋の清掃活動が中心だった。

1日目の清掃活動後、 ことし6月の高校総体でも泊まった民宿「小阪屋」に見舞いに行った。部員らは毎年世話になっている人たちの元気そうな姿を見て一安心。同民宿では倉庫が流されたりマグロの冷凍庫が大破するなど数百万の損害があったが、民宿の男性は「もっと被害のひどい人がいて、助けに行かなあかん方やのに」とぽつり。自身も被災者でありながら、炊き出しなど精力的に支援活動をしている男性が、下村君には衝撃的だったという。

その日の夜は、河原で野宿となり、下村君らは寝袋の中で瞬く星に見とれていると、突然の雨に見舞われた。全身はずぶ濡れになり「もう帰りたい」と、一度は嘆いてしまった。やがて晴れ間が広がり始めた頃、民宿の男性の言葉を思い出し、「同じ県内のこと。世話になった人が頑張っているのだから、みんなで力を合わせなければ」と強く誓ったという。

清掃活動では、 畳の下の床を雑巾で何度拭いても川の砂が取れず、困難だったことを振り返り、 下村君は「家の片付けは1人2人では足りない。とにかく人手がほしいと思う」と、 継続的な支援の必要性を話した。

今後は募金活動なども展開し、支援を続けていくという。

被災地での活動を振り返る下村君

被災地での活動を振り返る下村君