国民本位の行政基盤に 共通番号制度の一長一短

 台風12号は県下に大きな被害をもたらしました。 お亡くなりになられた方々に衷心よりのお悔やみと、 被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 台風から一夜明けた9月4日から9月23日にかけて、 県下のほとんどの河川流域を視察し、 お見舞いと激励に走りました。 どの地域の皆さんも、 これまで経験したことがない災害だと語っていました。 被災地は、 目を覆いたくなるような甚大な被害を受けています。

 この間、 9月9日には、 衆議院の災害対策特別委員会で政府の対応をただしたり、 官邸に災害対策に関する申し入れをしたり、 国の支援を要望しました。
和歌山県の災害史に残る大災害となりましたが、 被災地の一日も早い復旧を支援するとともに、 災害に強い国土・社会を作るために全力で頑張ります。

 さて、 私は、 先日の10月7日、 東京で開催された 「国民が主役の番号制度フォーラム」 に公明党を代表し、 パネリストとして参加しました。

 現在、 議論されている 「共通番号制度」 とは、 社会保障と税に共通の番号を国民一人ひとりに割り振る制度のことで、 政府は、 来年にも法案の成立を目指しています。

 現在、 番号については、 基礎年金、 健康保険、 介護保険、 運転免許、 パスポートなど、 それぞれ別々の番号が数多く使われています。 これらの番号は、 厚生労働大臣や市町村などでそれぞれ管理され、 番号同士を結びつける仕組みはありません。
共通番号制度では、 住民基本台帳ネットワークをもとに国民全員に 「番号 (マイナンバー)」 を付け、 年金・医療・介護保険・福祉・労働保険・税務の6つの分野の情報と結び付け、 活用することが考えられています。 制度ごとに別々の番号を一本化するというものではありません。

 メリットは、 行政事務の簡素化、 行政手続きの簡略化が進むとともに、 よりきめ細やかで的確な社会保障の支援が行われるようになると期待されています。

 せっかく、 良い行政サービスがあっても、 制度を知らないために、 支援が必要な人がサービスを受けられないということがあります。

 複雑極まりない社会保障制度は、 関心のある人でも全てを理解することは不可能です。 「県民だより」 や 「市報わかやま」 などのお知らせ欄を見逃しても、 自治体などが、 真に社会保障を必要とする人に手を差し伸べられることになったら、 どれほどいいかと思います。

 一方、 デメリットとしては、 番号を利用する範囲が広がれば、 取り扱われるプライバシー情報も増え、 情報流出の危険性が高まることです。

 共通番号制度は、 社会生活を一変するほどの効率性・利便性を発揮する可能性があるものの、 プライバシーや個人情報漏えいの懸念、 情報の国家による一元管理への懸念など、 国民の皆様の理解を求めなければならない課題もあります。

 日進月歩の情報通信技術を駆使して、 効率的で公平な行政を確立するだけでなく、国民の視点に立って、行政のあり方を根本的に見直し、 国民本位の行政となるような基盤をつくれるかどうかが、 大きな鍵であると思います。