高齢者虐待が過去5年で最多 和歌山県内昨年度

 県は昨年度、 県内市町村に寄せられた高齢者虐待に関する相談、 通報件数をまとめた。 通報は170件 (前年比65件増)、 うち虐待と判断されたのは101件 (37件増) で、 平成18年の調査開始以降最多となった。 県長寿社会課は 「高齢者人口自体増えていることもあるが、 関係機関との連携で通報体制が整ったことで顕在化しているのでは」 と話している。

 同課によると、 虐待と判断された件数の平成18年から5年間の県の伸び率は、 全国の1・5倍になる。

 県内の虐待の種別では、 殴ったり蹴ったりする 「身体的虐待」 が72件と最も多く、 「介護等の放棄」 が36件、 暴言や拒絶反応など 「心理的虐待」 が35件、 高齢者の財産から利益を得る 「経済的虐待」 が30件など。

 虐待を受けた高齢者の約8割が女性で、 全体の8割が75歳以上だった。 また全体の約7割が要介護認定者で、 日常的な動作に部分的な介護が必要な 「要介護2」 が最も多かった。 虐待を行ったのは息子 (45・2%) が最も多く、 夫 (18・3%)、 娘 (9・6%) と続いた。

 また市町村などは虐待への対応策として、 約3割の事例で高齢者を虐待者から離した。 離さなかった場合、 高齢者の世話をしている家族や親族に対する助言や指導 (53・4%) などをした。

 県は、 高齢者虐待の早期発見・予防を図るため、 介護保険施設などへの指導や介護サービス従事者を対象にした研修などを実施している。 同課は 「県民に対する啓発を行い、 市町村職員などへも高齢者虐待の対応に関する研修などをしていきたい」 と話している。