現存する鉄道連絡船は2航路 JR宮島航路と南海フェリー

 大河ドラマ 「平清盛」 の舞台として注目されている厳島神社がある宮島 (厳島)。 ドラマの放送開始に伴い、 広島県廿日市市の宮島口駅と宮島を結ぶフェリーには、 普段に増して、 大勢の観光客が乗船している。

 片道約10分。 JR西日本宮島フェリーと宮島松大汽船がそれぞれ運航している。 JR西日本宮島フェリーは宮島航路という鉄道連絡船だ。 日中は厳島神社の大鳥居に接近し、 海から参拝できる 「大鳥居便」 を運航するなど、 観光に重きを置いている。 年間の運送人員は約177万人だ。

 鉄道連絡船という言葉を懐かしく感じられるかもしれない。 日本で現存する鉄道連絡船は、 この宮島航路(宮島口―宮島)と、 南海フェリー(和歌山港―徳島港)の2航路だ。

 宮島航路と南海フェリーの共通点は鉄道連絡船という運航形態だけではない。 以前、 本紙でも紹介したが、 宮島には弘法大師(空海)が修行、 開基した大聖院があり、 広島からお遍路参りへ出発する人々が訪れる。 お遍路参りの最後に、 結願のお礼と報告のため高野山へ向かう人々は、 四国から南海フェリーを利用する。

 鉄道連絡船とお遍路参りという全く異なる切り口から、 意外な接点を見つけた。 離れた地域の共通点に気づきを持ち交流を深めることが、 地域の魅力発信の機会になることがある。 何かの縁でつながった機会を大切にしたい。   (次田尚弘/広島)