被災した歴史資料の保全考える

 災害時に歴史資料をどうやって守るかを考える公開フォーラム 「地震・津波・洪水と文化財―台風12号被災資料保全活動の経験から―」 が19日、 和歌山市本町の複合商業施設フォルテワジマで開かれた。 歴史資料保全に関わるボランティア組織 「歴史資料保全ネット・わかやま」 (藤本清二郎代表) のメンバーが台風12号での活動を報告し、 汚れた資料の洗浄・乾燥実演も行われた。

 和歌山大学紀州経済史文化史研究所と同団体が主催し、 一般市民ら60人が参加した。メンバーたちは、 今回の台風12号の被害を受けた文化財の保全に関し 「初動の遅れが一番の反省点」 と口をそろえた。 県文化遺産課の蘇理剛志さんは、 農具などの民具80点が廃棄された事例に触れ 「生活道具や文化財だけでなく、 写真なども 『後世に伝えなければならない』 という気持ちが大事だと思った」 と話した。

 また、 歴史資料ネットワーク副代表で近大姫路大学講師の松下正和さんが、 汚れた資料の洗浄と乾燥について実演した。水に漬かったりしたものは 「まず乾かすことが先決」 といい、 新聞紙やキッチンペーパーで水分を取り除く方法を披露。 泥で汚れた資料は、 切った網戸に挟んではけなどで優しく洗えばきれいになることを紹介した。松下さんは 「何よりも捨てないでほしい。 復元できる。 もしものときは連絡してほしい」 と話していた。