都市再生考える 県と市がまちづくりシンポ

 県都・和歌山市の都市再生と、 誰もが暮らしやすいコンパクトなまちづくりについて意見を交わすシンポジウム(県、 市主催)が26日、 複合商業施設フォルテワジマ(同市本町)で開かれ、 大橋建一市長や県関係者らが積極的に見解をぶつけ合った。 本年度から県と市が取り組んでいる 「戦略的都市再生プログラム」 を広く市民に知ってもらおうと開かれたもので、 約100人が熱心に耳を傾けた。

 海外で進みつつある、 郊外の都市的利用を抑えて中心市街地活性化を図る 「コンパクトシティ政策」 の日本での第一人者とされる、 名城大学都市情報学部教授の海道清信さんが基調講演した。 海道さんは、 海外のコンパクト化手法は都市の拡大成長に伴ったものであり、 人口減少が予測される日本では、 それに対応した手法が必要だと主張。 「中心市街地活性化を商業の活性化のみでできると考えず、 市民が大事にしたい場所になるよう再生すべき」とした。

 シンポジウムでは、 和歌山大学経済学部教授の足立基浩さんがコーディネーターを務め、 パネラーがそれぞれの視点から意見を述べた。 市長就任から10年を迎える大橋市長は、 市内中心部の活性化がスムーズに進まなかったとし、 「大阪に行く利便性が高い市民を、 市の中心部に呼び込むのは不可能。 中心市街地では、 住んでいる人たちが動かないと人通りを再生するのは難しい」。 和歌山経済同友会代表幹事の樫畑直尚さんは 「石川県金沢市では、 町の中心地に金沢城があるが、 和歌山城は完全に劣っている。 金沢は西や東に花街があり、 シティープライドというか、 自分たちで楽しんで取り組んでいるからこその魅力があり、 (人を)引き付けている」 と他府県の都市再生について紹介した。

 海道さんは 「人口が減っているのを逆手に取った豊かなライフスタイルを目指すのもいい。 日本の 『コンパクトシティ』 のモデル地域になれるよう、 地域住民、 行政、 地権者などが努力すれば、 子や孫に誇れる町ができる」 と強く呼び掛けた。