6月から発電用水も放流 ダムの治水容量確保で
紀伊半島大水害で県営の治水ダムが機能しなくなったことを受け、 県は6月から、 関西電力㈱の協力を受け、 大雨が事前に把握できた場合に県営ダム3カ所と同社所有の殿山ダム (田辺市) の水位をあらかじめ低下させ、 治水容量を確保する。 県の要請を受け、 同社が発電用の貯水分の放流などをする。 仁坂吉伸知事が11日の定例記者会見で明らかにした。
対象になるのは同水害で治水機能を失った椿山ダム (日高川町)、二川ダム (有田川町)、七川ダム (古座川町) と殿山ダム。
二川、 七川ダムは現行から確保容量が約1・4倍、 椿山ダムが約1・1倍となる。 これにより同水害時の雨量で換算すると、 洪水調節可能時間を七川ダムで1時間20分、 椿山ダムで1時間40分延長できる。 洪水調節可能時間の延長は住民の避難時間の確保にもつながる。
県は6月までに実施要領を作成し、 事前放流を行う雨量など詳細を決める。 仁坂知事は 「ことしの雨期に間に合った。 事前放流することで途中で雨がやめば持ちこたえることができる」 と話した。