国登録有形文化財に 料亭「がんこ六三園」

 国の文化審議会(宮田亮平会長)は20日、全国で166件の建造物を新たに有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申した。 県内では和歌山市堀止西の旧松井家別邸(がんこ六三園)の10件。 これで県内の登録有形文化財(建造物)は56カ所、156件となる。

 答申されたのは、 同別邸の主屋、 表門、 茶室、 北土蔵、 南土蔵、 給水塔、 浴室棟、 便所、 裏門、 土塀の10件。 建築年代は大正9年~大正後期。 同別邸は大正から昭和初期にかけて、 松井伊助(1865~1931)が造営したもの。 松井伊助は橋本市出身で、 大阪で相場師として成功した。

 その後は資産家の尾藤家(詳細不明)の所有となり、 一時は米軍に接収されたが、 昭和27年に再び尾藤家の住居になった。 翌年には日本料理店 「六三園」 の名前で料亭として利用され、 平成17年に現在の 「がんこ六三園」 となった。

 同別邸は落ち着いた和風建築の中に、 当時はやっていた洋風建築の意匠を大胆に取り入れており、 近代の邸宅らしさがある。 また料亭として活用するため一部改造はあるものの、 主要な部分は当初の形式を残しているため貴重という。

 敷地の南側に庭園を築き、 北には庭園に面して中央に主屋、その北側に土蔵、 給水塔が建てられている。 敷地の周囲を土塀で囲い、 東面に表門、 南面には浴室棟と裏門を設けている。 庭園内には他、 茶室と便所がある。