「岡山の時鐘堂」が建立300周年

 江戸時代中期から和歌山城下の人々に時を知らせてきた、 和歌山市吹上の県指定文化財 「岡山の時鐘堂」 が建立されてことしで300周年を迎える。 9月1日、 記念講演会と鐘突き会が、 和歌山ユネスコ協会(芝本和己会長)主催、 市教育委員会などの協力で行われる。

  「岡山の時鐘堂」 は、 紀州藩士の登城時や各刻限を知らせるため、 5代藩主・吉宗が正徳2年(1712)に建立し、 9月1日に突き始められた。 鐘楼は約6㍍四方の2階建てで、 2階につり下げられている鐘は、 元和元年(1615)の大坂夏の陣で豊臣方が使用した青銅製の大砲を徳川方が獲得し、 紀州藩が保管していたものを、 鋳直させたと伝えられている。

 争いに用いる大砲が平和利用されたとして、 同協会は毎年の終戦記念日に、 市民の参加を募って鐘を突いている。

 記念講演会は午後1時半から、 隣の県立近代美術館2階ホールであり、 藤本清二郎和歌山大学教授が 「藩主吉宗と時鐘堂建立の時代」 のテーマで話す。 鐘突き会は3時から。

 申し込み不要だが、 1時から先着順に整理券を手渡す。 鐘突きはその番号順に行い、 100人に証明書を発行する。

 また同日、 300年前の不定時法で 「明(あけ)六ツ」 から 「暮(くれ)六ツ」 まで一刻(約2時間)ごとに鐘を突くイベントもあり、 参加を募っている。

 問い合わせは同協会事務局(℡073・435・1138)へ。