池ノ上さんに徳川宗敬賞 日本漆工協会
400年以上生産が途絶えていた 「根来寺根来塗」 の復興に尽力したとして、 岩出市の塗師・池ノ上曙山さん (53) が日本最大の漆工団体、 日本漆工協会 (東京都、 三井之乘会長) から 「徳川宗敬賞」 を受けた。 池ノ上さんは 「根来寺根来塗が産地として認められたことが何よりうれしい」 と話している。
池ノ上さんは6年前、 同団体から優れた技術を認められ、 「優秀漆工技術者」 表彰を受けており、 徳川宗敬賞はその上の賞に当たる。 このほど東京都の明治神宮で表彰式が行われた。
現在全国に広まっている根来塗は、 岩出市の根来寺周辺が発祥の地とされる。 天正13年 (1585) の豊臣秀吉の根来攻めにより、 同地での生産が途絶えていた。
池ノ上さんは古物ファンの父の影響もあり、 漆器の修復や鑑定の仕事をしていた。 28歳の時、 根来塗研究の第一人者である河田貞氏に師事。 昔ながらの技法により、 産地としての根来寺根来塗を復活させた。
池ノ上さんにとって根来塗は 「道具」。 「これは飾り物ではない。 使うことで古びていく様が面白い」 といい、 生活の中で使うほど朱色が鮮やかになり、 傷さえも味になるとその魅力を語る。
現在は多くの人に根来塗の文化を知ってもらおうと、 小・中学校の出前授業などで魅力を伝えている。 同市民俗資料館内の根来塗工房で活動し、 人材育成にも取り組んでいる。 「文化を知ることが大切。 生まれた土地の文化に接することで故郷に自信を持ってほしい」 と話している。