史上最高の5、6年生に 子どもたちとの活動を通して
本紙共催の吹上小プロジェクト。 筆者はこの試みを企画させていただいた。
11年前。 「課外授業ようこそ先輩」 というNHKの番組収録で吹上小に訪れた竹中平蔵先生との出会いは、 私の人生を大きく変えた。
平成13年3月12日。 興味を持って読んでいた 「みんなの経済学」 という本にサインをお願いした。 竹中先生はほほ笑んで 「Warm Heart & Cool Head ! これを君に贈るよ。 いつか、 私がいる慶応大学湘南藤沢キャンパスに来てみない?」 と言った。
竹中先生がいる大学に行ってみたい。 5年後、 私は慶応大学に入学。 憧れの湘南藤沢キャンパスにいた。 再会は卒業間近の平成22年4月19日。 教授として戻ってこられた竹中先生とキャンパスですれ違った。 「小学6年生のとき、 吹上小学校でサインをもらった者です」 勇気を出してそう話し掛けた。 竹中先生は 「そうか!じゃあ一緒に和歌山を元気にする活動をしよう」 と答えた。 真っ先に浮かんだのが今回の吹上小プロジェクトだった。
プロジェクトに携わった111人の児童は、 吹上小史上最高の5、 6年生だと思う。 活動を通して、 社会を広く見ること、 興味があることや得意なことに全力でトライする面白さを実感してほしいという思いに全力で応えてくれた。
本当に厳しい時代だからこそ、 これからいろいろな苦労をするかもしれない。 私は高校を中退、 大検を取って、 高校3年の年齢で慶応大学へ飛び入学した。 人生、 何があるか分からない。 なんとか今日までやってこられたのは、 吹上小で竹中先生から教わったことを何度も思い起こしたからだと思う。
和歌山の子どもたちには、ぜひ、本紙や全国紙の地方版を通して、地域の魅力あるいは課題に触れて、 身の回りの出来事に興味を持ってほしい。 そして、興味を持ったことを深く探究してほしい。 そこには、 いきいきとした子どもたちの姿が見えた。 (次田尚弘/和歌山)