新校舎が完成 信愛付属中・高校
平成22年4月から建て替え工事が進められていた和歌山市屋形町の和歌山信愛女子短期大学付属中学校・高校(森田登志子校長、生徒1156人)の新校舎が25日、完成した。旧校舎(1号館)は昭和38年建設で、2号館とともに現在の耐震基準を満たしていなかった。「女子生徒が自分をのびのびと伸ばせる環境」をコンセプトに、内装に紀州材などの木材をふんだんに使用し、温もりのある空間になっている。
昨年9月に高校教室が入る2号館が完成。今回は中学教室や体育館が入る1号館が完成した。工事中、生徒は3号館(平成10年完成)と2号館で授業を受けてきた。1号館は新学期から使用する。
1・2号館とも鉄筋コンクリート5階建てで、延べ床面積約1万2485平方㍍(1号館約8741平方㍍、2号館約3744平方㍍)、敷地面積約7568平方㍍。
外壁は白の磁器質タイルを使用。内装は体育館や床、廊下、教室にあるコートを掛けるハンガースペースに至るまで木にこだわっている。
またトイレなどには、人を感知して自動的に電気がともる照明を付け、省エネにも気を配った。
教室には防音・断熱効果のある2重窓と、外光の明るさによって自動的に光度が変わる照明、シーリングファンを設置。ひさしの役割を持つバルコニーを設け、教室と廊下の両側の壁にガラスを多く使うことで開放感を持たせている。
黒板は、数学教師から「数式を解く過程を最後まで残したい」という要望があり、教室前面の壁をほとんど全て利用し、幅8㍍にした。
幅4㍍の広い廊下は、生徒たちのコミュニティースペース。市出身の工芸作家、岩崎久子さんが製作したムクの木の机と椅子を置いた。
正面玄関と階段の踊り場には、東京帝国ホテルや六本木ヒルズの森タワーを手掛けた市出身のステンドグラス作家、三浦啓子さん制作の作品を埋め込んでいる。
聖母マリアの聖地「ルルドの泉」をイメージして、屋上のマリア像から1階の水盤に向かって水が流れる様子を表現したステンドグラスは、太陽光が当たると柔らかな色彩が楽しめる。
紙岡智副教頭(50)は「生徒にとって伸び伸び育つ環境が整った。社会に出ても通用するベースを身に付けてもらいたい」と話している。
設計・施工は㈱竹中工務店(本社=大阪市、竹中統一取締役社長)。