南海トラフ、3連動 和歌山県が新たな津波想定公表

 県は28日、 「南海トラフの巨大地震」 と 「東海・東南海・南海3連動地震」 の2種類の地震について新たな津波浸水想定を公表した。 南海トラフの場合、 県内の浸水面積は、内閣府が昨年公表した想定の1・2倍の1万2620㌶に達し、中でも和歌山市は1・5倍の3660㌶となっている。仁坂吉伸知事は「命を守る上で、最悪の場合を想定して逃げた方が安心につながる。県民や自治体に参考にしてもらいたい」と話している。

 今回の想定は、 昨年4月設置の県地震・津波被害想定検討委員会 (会長=河田惠昭関西大学社会安全研究センター長) で検討してきた。

 考えられる最悪の規模を想定した南海トラフの巨大地震は、 規模をマグニチュード9・1とし、 昨年8月の内閣府の想定を基に、 県が持つ詳細な地形データを使用。 河川の堤防が地震動で75%沈下し、 津波の越流時点で破壊されるとの厳しい条件設定で計算されている。

 最大津波高は、 最も低い和歌山市と海南市で8㍍、 すさみ町が最も高い19㍍。 浸水面積は、 紀の川や和田川の堤防沈下の想定により、 和歌山市が市内の17・5%に当たる3660㌶に達する。 海南市は6・6%の670㌶となっている。

 津波到達時間は、 内閣府の想定では最短の串本町と太地町が2分だったのが3分となったが、 和歌山市は40分 (内閣府想定46分)、 海南市は39分 (同43分) と早まっている。

 一方、 3連動地震の想定は、 マグニチュード8・7とし、 宝永地震や安政地震など過去に実際に起こった地震を基に計算されている。

 最大津波高は、 串本町が最も高い10㍍で、 和歌山市と海南市が最も低い6㍍。 浸水面積は、 和歌山市が市内の7・4%に当たる1540㌶、 海南市が5・2%の530㌶と想定されている。

 今回の想定では、 主要公共施設の浸水予測も公表。 本紙エリアでは海南市の市役所、 消防本部、 警察署、 医療センターがいずれも浸水区域内となっている。 災害拠点病院である和歌山市の県立医大付属病院も浸水が予測され、 県は新年度事業で対策を行う。

 県総合防災課は 「今回のデータをスタートに、 各市町村で新しいハザードマップの作成や避難訓練を進めてもらいたい」 と話している。