津波情報さらに早く 和歌山県と海洋機構が協定

 県は5日、海洋研究開発機構(平朝彦理事長)が紀伊半島南東沖で観測している地震・津波データの提供をリアルタイムで受ける協定を締結した。南海トラフ巨大地震などの津波について、携帯電話のエリアメールなどを使い、気象庁の注意報・警報発令よりも早く県民に避難情報を発信できるシステムを開発し、平成27年度からの運用を目指す。同機構と地方自治体によるこうした協定は初めて。

 同機構は、三重県尾鷲市の陸上局から沖合125㌔までの海底をケーブルで結び、20カ所に地震計や水圧計を設置した地震・津波観測監視システム「DONET」を運用している。県総合防災課によると、県はDONETのデータをリアルタイムで受信し、陸上に影響が出そうな地震・津波を観測すれば自動的にエリアメールなどで避難を呼び掛けるシステムを構築する。

 気象庁による津波注意報・警報は、地震・津波の規模を解析する時間が必要なため発令は発生から数分遅れる。内閣府の南海トラフ巨大地震の被害想定では串本町と太地町に最短2分で津波が到達するとされており、県は、より早く県民に地震・津波の発生を知らせる必要があると判断した。

 今後、受信データから津波の規模や到達時間を解析するシステムを開発し、避難困難地域を中心とする約30カ所の陸上にどのような影響が出るかのモデルを作成する。本年度は、データ受信のための回線整備や6カ所程度のモデル作成を予定している。

 同機構は、紀伊半島南西沖と四国沖の海底に「DONET2」の設置を進めており、完成すれば、県はさらに詳細なデータの提供を受けられることになる。