宮前小の「けん玉先生」 世界大会3連覇

 和歌山市立宮前小学校教諭の向井智哉さん(27)がこの夏、フランスで行われた国際大会「ヨーロッパけん玉オープン」で3連覇を達成。世界各国から約50人のけん玉名人が集う大会で、見事快挙を成し遂げた。

 向井さんは大学まで野球部に所属。4年生で部活を引退してから本格的にけん玉を始めた。「特技を見つけよう」と思った時に、友人からけん玉を教えてほしいと頼まれた。

 それまでは遊び程度の経験しかなかったが、友人に追い抜かれないようにと自身も技に磨きをかけ、始めてわずか2カ月で初段を取得。その後も順々に段を上げ、初段から1年5カ月で6段を取得した。

 同大会はことしで5回目の開催。向井さんはおととしの第3回大会に初出場し、いきなり優勝、昨年の第4回と連覇を成し遂げた。「世界タイトルを3回取れば、『本物』と認めてもらえるだろう」という思いで今大会に臨んだ。日本人向けではない高度な技を1回戦から多数盛り込むなど、大会側の「3連覇、譲ってたまるか」という思いをひしひしと感じながらも、見事3度目の栄冠に輝いた。

 大会は1対1の個人戦で、選手は審判がくじで決めた順番で交互に1回ずつ試技をする。1度勝つと1点で、2点先取で勝敗が決まる。決勝のみ3点先取というシステム。

 向井さんは「初戦が正念場だった」と振り返る。苦手な対戦相手で、苦手な技を選択された。さらに会場の電気が付かないという不運も重なった。

 厳しい状況の1回戦を勝ち抜くと、以降は余裕を持って戦うことができた。5度の戦いを制し、優勝の証・けん玉トロフィーを勝ち取った。

 「優勝が決まった瞬間は素直にうれしかった。これからもけん玉の楽しさや、試行錯誤を繰り返して成功できた時の達成感などを子どもたちに伝えていきたい」と話している。