紀の川市議選 旧5町別分析「貴志川」

 9月2日現在の有権者数は1万7067人で旧5町で最も多い貴志川地区。新興住宅が多いことで浮動票が見込める上、引退する現職の票をめぐって他地区の候補者が獲得に乗り出している。

 現職3、新人3の6人が立候補を表明。現職は地盤を固め、戦闘態勢は整った。 前任者の引き継ぎを進める公明、共産の各党と無所属の新人も着実に支持を拡大しているようだ。〔写真の並び、紹介は五十音順〕

 立候補を表明しているのは、太田加寿也(61)無新、大谷さつき(58)公明新、高田英亮(69)無現、竹村広明(65)無現、辻里(中村)真紀(35)共産新、西川泰弘(67)無現――の6氏。

 太田氏の地元長原地区は、現職がいなかっただけに票の流れはばらばら。後援会活動で地区を何周もし、地盤固めに躍起だ。地区や団体の推薦はないが、教員として那賀町を除く4町での勤務経験があり、教え子が必死になって票を集めている。

 大谷氏は前回1758票で3位当選した田代氏の引き継ぎを順調に終え、貴志川地区全域で票の上積み。2回の街頭演説を実施し、弱点の知名度不足も解消しつつある。陣営は「前回に比べると厳しいが、反応はいい」と好感触の様子。

 高田氏は前回2383票で堂々のトップ。事務所開きは11月2日で最も遅かったが、6月中旬からの後援会活動で地元神戸の票を固めた。毎朝、地区の小学生の通学を見守るなど、普段の活動が根強い支持につながり、他の候補者もその強さに一目置いている。

 竹村氏は前回1289票で16位当選。これまでの実績を武器に東貴志小学校区で足場を固める。参議院選挙の影響で出遅れたものの、新人に負けじと地区で引退する現職の引退票の取り込みを図るなど、支持拡大に奮闘中だ。

 辻里(中村)氏は党として貴志川に事務所を構え、桃山の両地区で活動する。激戦の桃山は地区の候補者が足場を固め終えたのが現状で、「あそこは厳しい」と分析。前任者が支持を得ていた老人クラブの引き継ぎも苦戦する一方、子育て層など若い世代からの反応に手応えも。街頭演説で知名度も高まってきた。

 西川氏は前回1596票で7位当選。「まだまだ低調」とし、市長選は無投票が濃厚なことなどから投票率の低下を懸念する。地元西山をはじめとする西貴志小学校区を中心に、市内全域で活動を展開。議長としての実績もあり、地元の信頼は厚い。