高島屋和歌山店が来年8月閉店

 高島屋は26日、和歌山店(和歌山市東蔵前丁、中戸秀和店長)の営業を来年8月末に終了すると発表した。近年の業績不振を受け、同日の取締役会で決議した。南海電鉄和歌山市駅に直結し、昭和48年の開店以来、市民に親しまれてきた百貨店が41年の歴史に幕を下ろす。

 南海和歌山ビルのキーテナントとしてオープン。売場面積4510平方㍍。1階で食料品、2・3階で衣料品や生活用品などを販売し、地域に根ざした営業を続けてきた。

 しかし景気低迷による個人消費の落ち込みなどから業績が伸び悩み、ピークの平成4年2月期に約65億円あった売上高は25年2月期には21億8800万円に落ち込んだ。

 テナントの賃料値下げやリニューアルなど改善策を行ってきたが、来年4月からの消費税増税や競合店の激化など、取り巻く環境から将来の業績見通しは厳しく、営業継続は難しいと判断。同ビルの賃貸借契約が来年8月で満了することもあり、今回の決議に至った。

 従業員93人(12月26日現在)らの雇用について今後話し合い対応していく。

 同店は、ことし5月に開店40周年を迎えた。「日頃の感謝の気持ちを込めて」と3月から県内初出店となる東急ハンズ「トラックマーケット」を皮切りに、洋服と華道作品とのコラボ展示や、全国スイーツフェア、和歌山の良さを伝える紀州物産展など、さまざまな企画を展開していた。

 同社は「皆さまには長年ご愛顧いただいてきた店。手立てを講じてきたが、取り巻く環境など総合的に考えた結果で、苦渋の決断」と話している。

 同ビルを所有する南海電鉄は、閉店後の建物の利用は検討中としている。
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大橋市長「非常に残念」
 和歌山市の大橋建一市長は「撤退のニュースを聞いて非常に残念。中心市街地の活性化にも影響を及ぼすことが懸念されるので、県、南海電鉄をはじめ関係事業者と連携を図り、まちなかの活性化に努める」とのコメントを発表した。

 県の藤本陽司商工観光労働部長は、県と市、南海電鉄、学識経験者などが市駅周辺エリアの再開発に向け意見交換しているとし、「自信を失わないでほしい。待ったなしの状況だが、にぎわいを取り戻せるよう検討を進める」と話した。
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商店主ら「影響心配」
 開業当初から、長らく共存共栄を図ってきた商店街にとっても撤退の衝撃は大きかった。市駅前中央商栄会の垂井一会長(64)は「高島屋は商店街のメーンテナント。夏祭りや年末の催事など、共に頑張ってきたので撤退は非常に残念」と決定を惜しんだ。その他の商店主からも「イベント時には、すごく集客力があった。あのにぎわいがなくなってしまう」(ガス販売店女性85)、「高島屋さんのお客さんも、大勢ごひいきにしてくれていたので今後の影響が心配ですね」(眼鏡店経営男性49)などの声もあった。

 来店していた和歌山市野崎の主婦(65)は「30年以上前から市駅を利用した際は、必ず立ち寄っていました。なくなったら不便ですね」と話していた。