「和歌山の釣りキチ三平」笹本君 築地川見守る
和歌山市湊御殿を流れる築地川を愛し、雨の日も風の日も365日釣りをして川や魚の変化を観察している男子高校生が地域で話題になっている。その熱心な姿に付いた愛称は「和歌山の釣りキチ三平」。生徒は、川の近くに住む笹本樹君(16)=和歌山工業高校1年生=。築地川の地形や生態系を釣りを通して調べつくし、今では右に出る者がいないほどにまで知識を身に付けた。
笹本君は5年ほど前、川沿いに花水木遊歩道が完成して釣りがしやすくなったことをきっかけに、2、3時間の釣りを毎日欠かさず続けている。築地川周辺には、複数の工場。見た目には、釣れそうにない川だが、アジ、ヒラメ、メッキ、チヌなどの他に、オニカマスやカライワシなど珍しい魚も釣れるという。
笹本君の存在が地域に知れ渡ったのは3年前。築港自治会役員らが、釣りをしていた笹本君に声を掛けたところ、笹本君は「この川これからどうするの? 川は力が出てきているよ」と魚が戻って来ていることを伝えたという。同会の木田耕藏会長(71)は当時を振り返り「付近住民は、みんな魚などいないと思っていたので驚いた」と話す。
笹本君はその後、自治会と交流を深め、今では役員会に必ず出席するほど、まちに欠かせない存在になった。築地川について笹本君は「魚が戻ったのは、地域の清掃活動や川が持つ浄化能力の力。魚がいることを地域の人に知ってもらえれば、もっと川が愛され、きれいになるので、これからも釣りを続ける」と話している。
16日にシンポ 同川は70年ほど前、子どもたちが泳げるほどきれいな川で、シジミも捕れた。その後は、経済成長に合わせ、産業や家庭の排水、不法投棄で汚れ、また、川に浮かぶ大量の建築用木材など景観も悪くなった。しかし、近年、周辺住民らの清掃活動などによって、水質が劇的に改善しているという。
これらの取り組みを発表するシンポジウムが16日午後1時半から、同市築港の県歯科医師会館で開かれる。築港地区花水木遊歩道整備促進協議会が主催。当日は、県立自然博物館の楫善継学芸員や笹本君、NPO法人自然体験学習支援センターの中家勝副理事長、地域住民らがそれぞれの立場で、海や川の環境保全の取り組みについて発表する。
問い合わせは木田会長(℡073・433・0651)。