和歌山の国文化財を一目で マップ完成

 県内の登録有形文化財の保存・活用を目指し、所有者でつくる「県国登録有形文化財所有者の会」(中筋正保会長)は、県内に登録されている63カ所の有形文化財を紹介するマップを7000部作成した。すでに半分は各市町村の教育委員会などに配布されており、中筋会長(84)は「所有者の横のつながりが深くなり、意見交換しやすくなった。皆さんからも好評で、地域の歴史の核として理解を深めてもらえればうれしい」と話している。

 マップは、広く県内に分布する建物の所在地を明らかにし、会員同士の交流を図ることなどを目的に、平成25年度文化庁文化芸術振興費補助金を活用して制作。60㌢×80㌢で、所有者が執筆に加わり、建物の歴史や特徴を解説。旧西本組本社ビルや和歌山電鐵貴志川線伊太祈曽駅検査場、県庁舎本館など、個人所有や公共の建物を写真入りで紹介している。

 裏面には県全体の地図とともに所在地を示し、位置関係が一目で分かるよう工夫した。

 登録有形文化財は築50年以上の建造物を対象に、歴史的な景観への寄与や構造など優れた価値のあるものを文化庁が登録する。県内には現在、68カ所185件が登録されている。

 同会は、建物の維持管理や後継、活用などの問題について、情報交換・発信していこうと、中筋家住宅(和歌山市祢宜)所有者の中筋会長の発案で、平成25年3月に発足。懇親会や総会で情報交換を図っている。

 中筋会長は「所在地を知ってもらうことで地域の方々との連携も深まる。和歌山の観光振興にも役立てられれば」と話している。

 問い合わせは中筋会長(℡073・477・1716)。