少年の立ち直りを支援 県警が5年目

 少年たちが非行に走らないように願いを込め、県警やボランティア、大学生らが、立ち直り支援活動に奮闘している。県警少年課が中心になり続けている同取り組みは、5年目を迎えた。参加した少年の多くは、落ち着きを取り戻し、希望した就職や進学などをかなえ、成果が表れているという。同課の佐々木達也課長補佐(41)は「昔の地域にあったコミュニティがなくなりつつある今、少年たちの居場所をつくりたい」と意気込む。

 同事業は、田植えや稲刈り、地引き網漁、清掃活動、スポーツなどさまざまな活動を通じて、毎年30人程度の非行傾向にある少年たちを支援している。活動をサポートする大学生らは、「ブロッサムリーダーズ」と呼ばれ、県警本部長から委嘱を受けたボランティアだ。現在、75人が委嘱されており、教員を目指している学生なども多数いるという。

 4日に和歌山市内で行われた稲刈り行事では、14~16歳の中学、高校の生徒6人が参加。夏には田植えも経験しており、少年らは豊かに実った稲を刈り取り、自然の恵みを体感した。途中、ボランティアらと「俺、稲刈りうまいわ」などと談笑しながら、楽しいひとときを過ごしていた。また、本会場になった東部コミュニティセンター(同市寺内)では、カレーの調理実習が行われ、全員で和やかに食事した。

 参加した、深夜徘徊で補導歴があるという中学3年生の少年(14)は「大人や大学生もやさしいので、参加しやすいです。これからもまじめに頑張りたい」と話していた。

 2回生の時から支援活動に参加しているという近畿大学生物理工学部食品安全工学科4回生の野田麻友さん(21)は「初めは心を閉ざしていた少年たちも、積極的に話し掛けることにより、心を開いて素直になるので、取り組みの意義を感じています」と支援の重要性を話していた。

稲刈りで自然の恵みを体感した少年ら

稲刈りで自然の恵みを体感した少年ら