紀北支援学校で初の「能」体験教室
和歌山市冬野の県立紀北支援学校(武内正晴校長)で11日、日本の伝統芸能「能」のワークショップが開かれ、高等部3年生の12人が、このほど文部科学大臣の地域文化功労者表彰を受けた同市の能楽師・小林慶三さん(83)に指導を受けた。同校には知的障害のある生徒らが通っており、障害のある生徒を対象にした伝統芸能のワークショップは、同校、小林さんともに初の試みとなった。
文化庁の文化芸術による子どもの育成事業で、生徒たちは、代表的な演目「老松」の謡と舞に挑戦した。
小林さんは、能は650年以上続く、世界でも最も古い芸能の一つであることを紹介し、物語を分かりやすく解説。謡の練習では生徒たちは背筋を伸ばし、小林さんの手本に続いて声をそろえると、小林さんも「しっかり声が出てる」と太鼓判。
舞では、足袋を履き、扇の使い方や重心を落としてゆっくりと歩く「すり足」などを練習。最後には一人ずつ能面を着けて舞った。
生徒のリクエストで、元気のよい生徒の謡に合わせて小林さんが特別に舞を披露する場面も。小林さんは「思った以上にみんなうまくできていた。将来どこかでこの体験が役に立つことがあれば」と話し、浴林崇太君(18)は「腕を開いたりするのが楽しかった。もっと上手に踊りたい」と笑顔だった。