オオカワリギンチャク群生地、文化財に
県教委は、みなべ町沖にある「オオカワリギンチャク」の世界唯一の群生地など5件を文化財に指定、有田川町安楽寺の経典など2件を追加指定した。天然記念物としての指定を受けたオオカワリギンチャクの生息地は、同町堺沖中心から半径300㍍の海域。県内で海中生物に関する指定は珍しいという(写真は県教委提供)。
オオカワリギンチャクは平成16年に新種として公表され、体部の直径は約3㌢。数十本の触手を持ち、触手を含めた直径は約10㌢。クラゲの蛍光タンパク質と同類の物質を持ち、全身が明るい淡黄色を帯びるのが特徴。
みなべ町沖から東京の伊豆大島周辺にかけての水深35~100㍍の海域に分布。生息地として確認されているのは数カ所のみで、世界的に見ても希少。みなべ町沖は世界唯一の群生地とされている。
他のイソギンチャクに比べ比較的浅い場所に生息し、ダイバーにも人気だが、乱獲などにより、ここ数年で個体数が激減しているという。学術上の価値も高く、指定により保護を図る。
追加指定となった元丹生大明神社大般若波羅蜜多経(もとにうだいみょうじんじゃだいはんにゃはらみたきょう)2帖は、紀の川市の個人から県立文書館に寄贈された文書群に含まれていたもので、調査により安楽寺(有田川町二川)の経典の一部であることが判明。追加指定により一括で保護を図ることになった。この他、高家王子跡(日高町荻原)も追加指定された。
新たに指定されたのは群生地の他、貞元華厳経(湯浅町栖原)4帖など、上ミ山古墳(すさみ町周参見)出土遺物392点、濱口梧陵碑(広川町上中野)、丹生神社(高野町相ノ浦)の希少樹木・トガサワラ。2件の指定解除、1件の名称変更も行い、県内の指定文化財は579件となった。
指定解除は濱口家住宅(広川町広)、和歌の浦(和歌山市和歌浦周辺)。それぞれ国の重要文化財や名勝に指定されたため解除となった。
名称変更は、濱口梧陵らが創立した私塾「耐久社」(広川町広)。「耐久舎」から名称変更された。