紀三井寺の石灯籠を修復 中尾さん尽力

 和歌山市三〓の洋画家、中尾安希さん(73)が4月から取り組んでいた紀三井寺の参道にある石灯籠6基の修復作業が20日に完了した。同寺は今秋開催される紀の国わかやま国体・大会のメーン会場も近く、来県する人たちを気持ちよく迎えることなどを目的に修復を始めた。7月4日午前10時から同寺で除幕式が行われる。

 和歌浦の景観を眺めたり、描いたりするため、たびたび同寺を訪れるという中尾さんは、火袋部分の消失など欠損した石灯籠を長い間見てきた。同寺境内からは国の名勝・和歌の浦が一望でき、国体開催に当たり、多くの来県者が参拝するだろうと修復を考えた。「国体も目前。県外から多くのお客さまを迎え、『来て良かったね』と思ってもらいたい」
 修復費用には、展覧会での収益を充てた他、企業や個人から寄付金を募った。最初は損傷の著しい石灯籠3基の修復を予定していたが、6基分の修復費用が集まり、5月中旬から工事が行われ、無事に完了した。
 石灯籠の修復の他にも、寄付金などに協力してくれた人たちに感謝しようと、妻・安佐さんの勧めで、今月4日には同寺境内に枝垂れ桜を植樹。世の中の安心、安全を祈り「あんあん桜」と命名している。
 平成14年には、同市和歌浦中の妹背山海禅院の多宝塔前にあった右側の石灯籠の修復に携わり、今回が2度目の経験となった中尾さん。「皆さまのお力添えに感謝。国体では競技場から近い紀三井寺に他県から多くのお客さまが訪れると思います。美しく整った参道を歩き、和歌の浦が一望できる紀三井寺の素晴らしさを伝えたいですね」と話していた。
 除幕式は雨天決行。午前10時に同寺楼門(大門)に集合する。問い合わせは中尾さん(℡073・445・2756)まで。

修復前の石灯籠の写真を手に語る中尾さん

修復前の石灯籠の写真を手に語る中尾さん