華やかに、厳かに40回目の舞 日前宮薪能

和歌山の夏の風物詩となった「日前宮薪能」が記念の第40回を迎え、26日、日前宮(和歌山市秋月、紀俊武宮司)境内で、揺らめくかがり火のもとで優美な舞が奉納された。

節目に合わせ、おめでたい内容や人気の4演目が上演され、市民や外国人ら約1000人が、月下で舞われる幽玄の世界に浸った。

厳かな火入れ式の後、和歌山大学付属中学校の宮楠昂之君の華やかな舞囃子「吉野天人」で幕開け。茂山七五三(しめ)さんらが、おかしみあふれる大蔵流狂言「鬼瓦」を演じ、同市の観世流能楽師の小林慶三さんが歓喜の仕舞「羽衣」を奉納した。

能は、夫婦愛の素晴らしさをたたえ、長寿を祝う世阿弥の名作「高砂」。観世流の分林道治さんが鼓のリズムに乗せ、美しくダイナミックな舞で魅了した。

貝塚市から訪れた男性(64)は「謡を習っているのでとても勉強になります。なじみのある曲で楽しめました」と笑顔で話していた。

夏祭りも同日開催。春に建て替えられた境内の遥拝所(ようはいじょ)が紹介され、参拝者の無病息災を願う茅の輪(ちのわ)くぐりも初めて行われた。

観客を魅了した能「高砂」

観客を魅了した能「高砂」