躍動と歓喜、絆の国体に 44年ぶりの開催
「紀の国わかやま国体」の総合開会式は26日、和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場に約2万人を集め、天皇、皇后両陛下の臨席のもと盛大に行われた。選手団は「まりと殿様」など、和歌山にちなんだ曲の吹奏楽演奏、合唱にのせ、笑顔いっぱいに入場行進。昭和46年の黒潮国体でも使われた物と同じ炬火(きょか)台に、44年ぶりに火がともされた。
ロイヤルボックスに着席された両陛下は、総勢約2800人による華麗な式典前演技に拍手を送り、時に2人で笑顔で会話するなどして楽しまれた。
入場行進の最後に登場した和歌山県選手団は、旗手の坂本博紀選手(28)=ホッケー=を先頭に、「黒潮ブルー」のそろいのユニホーム姿で堂々行進。「ようこそ和歌山へ」と書いた横断幕を広げ、両陛下に笑顔で旗を振った。両陛下も全選手団に笑顔で手を振り、激励の気持ちを表された。
開式通告を行った仁坂吉伸知事は、東日本大震災、紀伊半島大水害などの災害から立ち上がってきたことにふれ、「郷土の代表としての誇りを胸に思う存分躍動され、スポーツの歓喜を味わい、競技を通じて友情の絆を育んでほしい」と開会を宣言。国旗掲揚ではボーカルグループ「ル・ヴェルヴェッツ」の5人による、美しいハーモニーの国歌斉唱が響き渡った。
大会会長の張富士夫・日本体育協会会長は「選手団の活気が全国に勇気と元気を与えることを願う」。下村博文文部科学大臣は平成32年の東京五輪などにふれ、「皆さんの中から世界の舞台へ羽ばたくアスリートが数多く輩出されることを期待する」とあいさつした。
また、航空自衛隊のアクロバット飛行専門チーム「ブルーインパルス」の5機が大迫力の展示飛行を披露し、上空に轟音を響かせ会場を盛り上げた。
炬火(きょか)走者は、第1走者を岩出市出身で元体操五輪代表の田中理恵さん(28)、第2走者を黒潮国体でも炬火走者を務めた高橋恭代さん(70)が担当。最終走者を務めた県選手団の中野翔太選手(18)=セーリング=は、熊野古道の石畳をイメージした階段を駆け上がり、30市町村で採火した火を炬火台にともした。
選手宣誓は県選手団の阪本直也選手(27)=カヌー=、西岡詩穂選手(26)=フェンシング=の2人で行い、「和歌山から感動と勇気を全国に発信し、全力で競技することを誓います」と力強く宣誓、11日間の熱戦が幕を開けた。