電力の「地産地消」へ 和歌山電力が始動

 来年4月に始まる電力小売りの全面自由化を見据え、県内初の新電力会社「和歌山電力」(本社=和歌山市塩屋)が設立され、本格的に始動する。県内の発電施設でつくられた電力を買い取り、関西電力の送配電網を使って県内の企業や一般家庭に電力を供給。電力の“地産地消”を掲げ、地域経済の活性化を目指す。

 13日に市役所で開かれた記者会見で、同社の山口高史代表取締役(31)は「和歌山で生まれた電気を和歌山で使う、電力の地産地消を目指したい。太陽光発電など、県内に再生可能エネルギーの発電所をつくりやすい環境を整えたい」と意気込みを語った。

 電力の自由化は平成12年から段階的に進められてきたが、来年4月の全面自由化に伴い、一般家庭でも、電力会社を自由に選んで契約できるようになる。

 全国的に自治体や企業による新電力会社設立の動きが広がっており、同社はことし1月に設立。電力の安定供給へ準備を進めてきた。

 山口代表は同市生まれ。京都大学薬学部を卒業し、コンサルティング会社の㈱船井総合研究所を経て、和歌山へ。父親が理事長を務めるエフエム和歌山でマーケティングを担当していた。現在は㈱日本新電力総合研究所経営企画室長などを務める。

 和歌山電力のような地域に密着した新電力会社は、企業や家庭の電気料金削減の他、エネルギーコストの県外流出を防ぎ、雇用創出や地方税収の増加などが期待される。

 また、各地域で細分化した電力供給を行うことで、地震や津波などの自然災害時、主要な送電線が切断され地域が孤立した場合でも、エネルギー供給が滞らず、災害に強い地域づくりが目指せるという。

 同社では現在、中小規模工場やスーパーなどを対象にした50㌔㍗以上の高圧電力の切り替えを進めており、来年1月から2月をめどに供給を開始。一般家庭や小規模店向けの50㌔㍗未満の低圧電力に関しては、来年1月から切り替え手続きをし、4月の供給を目指している。

 新電力に切り替えても初期費用はかからず、同社によると、電気料金は高圧電力で10%程度安くなるという。

 同社は来年11月までに、高圧電力では10メガ㍗の供給を、小売店や一般家庭への低圧電力は、5000件の契約を目標にしている。

会見する山口代表取締役

会見する山口代表取締役