和歌山の可能性を熱く 6国会議員が議論
県内の国会議員6人が集まった新春恒例ラジオ番組「県出身国会議員座談会」が9日、和歌山市湊本町の和歌山放送で生放送され、県が抱える課題への対策などについて2時間にわたり議論した。県の基幹産業である農林漁業や、今後さらに発展が見込まれる観光分野で、さまざまな意見が提案された。(掲載は当日の発言順)
観光分野の課題として、外国人をはじめ急増する観光客への対策について、鶴保庸介参院議員(自民)は「Wi―Fi(ワイファイ、公衆無線LAN)や英語表記などのインフラ整備は進めたが、関西空港や大型クルーズ船が入る和歌山、新宮、日高の港で、CIQ(出入国の際の必須手続き)の体制が整っているかといえばそうではない」「宿泊施設が足りない問題は、旅館業者とのバンランスを取りながら、空き家を活用した民泊などを考えざるを得ない」とそれぞれ対策を提言した。
農林水産分野について、世耕弘成参院議員(自民)は「どの国にどの産品を輸出できるのか、そのために障害になる権益や農薬、流通ルートの問題を一つひとつつぶしていって、輸出できるようにするので、県内もその流れに乗り、待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢で連携したい。魚の輸出はまだないので、日本のブランド力を生かし、最新の技術で冷凍し、アメリカやアジアの市場に出していきたい」と新たな流通市場の開拓を目指すことを強調した。
和歌山市の和歌山城の活用について、門博文衆院議員(自民、近畿比例)は「和歌山城は、焼失から昭和33年に天守閣が復元されたが、鉄筋コンクリートで造られており、60年がたって寿命もやってくる。耐震補強か、もっとダイナミックに木造建築でオリジナルの天守閣を造ろうという考えもある。外国人旅行客を呼び寄せるコンテンツとしても意味がある。大きなお金がかかるが、こういうことを問題提起して議論したい」と展望を述べた。
県民と海外との交流について、二階俊博衆院議員(自民、3区)は「昨年に皆さまのご協力を得て、韓国に1400人、中国に3100人、インドネシアに1100人で各国を訪問したが、その中の1割以上の人は県内の人。特に大きな宣伝をして集めたわけではなかったが、和歌山の人はセンスが良い。今後は、農業と観光の分野で県が中心となり、やる気を出させる対策を、理論の段階ではなく、実行の段階にすることが大切」との考えを示した。
技術革新が著しい現代社会について、石田真敏衆院議員(自民、2区)は「ニッチトップ企業は国内に最低2000ほどある。和歌山は、その100分の1と計算すれば20ある。それらを大きく育てていくことで今後雇用が発生する。ドイツのある研究所では、中小企業と一緒になって研究し、州政府が金をつぎ込み、世界の見本市に出品させながら、世界に通用する中小企業を育てている。可能性がある中小企業の支援がどれだけできるかが重要だ」と、成長企業への注力を訴えた。
今後の農林水産業について、岸本周平衆院議員(民主、1区)は「県にはこれだけ山があるので、和歌山から林業を生き生きとしたものにしたい。農業も県産農産物は輸出できる品質。一方で、世界は国際認証の時代で、同じ農産物でも認証がなければ市場に入れてくれない。材木も認証がないと買ってくれない。農林水産省は、国際認証についてまだ意識が低い状態。県などと一緒になって国際認証日本一を目指したい」との見解を述べた。