貴志中合唱部が県民歌録音 CDで配布へ

県民歌の普及に向け、県内全ての小学校の音楽の授業に取り入れてもらえるよう、県が全校にCDを配布する事業で、和歌山市民会館で1日、市立貴志中学校(中村善弘校長)合唱部26人による録音が行われた。

次世代を担う子どもたちに県民歌の普及を進め、郷土愛を育むことなどを目的とし、県が昨年秋から進めている取り組み。大規模災害などに備え、県民の共助意識の醸成、一体感を深めるなどの「県民運動」の一環に位置付け、自主的な取り組みとして各小学校に授業での採択を呼び掛けている。

県民歌は昭和23年、公募により旧美山村の詩人・西川好次郎の作詞、童謡『赤とんぼ』などで知られる山田耕筰の作曲で完成。県はこれまでも、カラオケ配信や各種式典での斉唱などで普及に力を入れてきた。

今回のCDは、昨年の「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部」で県代表となった同校と、田辺市立東陽中学校の2校が録音し、ピアノによる「伴奏用」と合唱の「模範演奏用」を作成する。

貴志中による録音では、同部顧問の久保真紀さんの指示を受けながら、生徒らは発声練習を繰り返し行ってから本番に臨んだ。伴奏は、同校が出場するコンクールなどでピアノ演奏をしてきたピアニストの道下佳世さんが務めた。収録が始まると、生徒らは堂々と豊かな声を出し、ハーモニーを響かせながら合唱していた。
部長の2年生、東亜紗花さん(14)は「和歌山の良さが詰まっている歌詞。とにかく明るく深い声を出すようにしました。収録は緊張しましたが、私たちの歌声を聞いて、きれいとかすごいとか思ってくれると、うれしい」と笑顔。久保さんは「県民歌を県民に広めるすごく良い取り組み。歌詞やメロディーの良さを引き出せるように指導しています」と話していた。

県県民局の岡本勝年局長は「広く県民歌を知ってもらおうと活動しています。今後は、ぶらくり丁内の店やJRの駅構内などで録音した歌を流してもらえないと取り組みを始めています」と展望を語った。
貴志中によるCDは紀北地域に、東陽中によるCDは紀南地域に、4月上旬ごろに配布する予定。東陽中は25日に録音を予定している。

県民歌を歌う貴志中学校合唱部

県民歌を歌う貴志中学校合唱部