西国三十三所草創1300年 各霊場で記念行事
日本最古の巡礼路(みち)「西国三十三所」が始まって2018年で1300年。札所寺院で構成する西国三十三所札所会は、草創1300年に向け、2020年までの5年間にわたる記念事業をスタートさせた。通常は非公開の建物や秘仏の特別拝観などが行われ、和歌山市にある二番札所・紀三井寺の前田泰道副住職(58)は「ぜひこの機会に三十三所を巡って満願し、観音さまとご縁を結んでいただきたい」と話している。
西国三十三所は、大阪、京都、和歌山、奈良、滋賀、兵庫、岐阜の2府5県にまたがり、観音菩薩を安置した霊場を回る日本最古の巡礼路。養老2年(718)、奈良県の長谷寺を開いた徳道上人が閻魔(えんま)大王に出会い、巡礼で人々を救うよう33の宝印を授かり現世に戻され、霊場を定めたという伝説に由来する。
県内には一番札所の青岸渡寺、二番札所の紀三井寺、三番札所の粉河寺がある。極楽往生を願って国内外から多くの参拝者が訪れ、巡礼者は年間約10万人に上るという。
主な記念事業として、草創時の巡礼を再現しようと、総距離1000㌔を超える巡礼ルートを徒歩で回る「徒歩巡礼」、4月から第一番札所から札所番号順に毎月、特別な朱印をもらうことができる「月参り巡礼」などが始まっている。
最近では寺社仏閣訪問の証し「御朱印」を集める若い女性も増え、外国人の参拝者も増加している。前田副住職は「本来信仰とは奥の深いものですが、スタンプ集めやスイーツ・仏像巡り、旅行など、物見遊山で、いろんな興味からでよいと思います。いい機会に巡り合ったと思って楽しんで回ってもらえれば。巡礼を重ね、観音さまの霊験にふれるうち、知らず知らずのうちに手を合わせたくなるものだと思います」と話す。