免疫の樹状細胞の新機能を発見 県立医大

 県立医科大学(和歌山市紀三井寺)の改正恒康教授らの研究グループは14日、免疫応答などを担う「樹状細胞」が腸炎の病態にブレーキをかけていることを発見したと発表した。今後、人の難治性炎症性腸炎疾患の病態の解明や、新たな治療法の開発が進むことが期待される。

 研究は同大先端医学研究所生体調節機構研究部の改正教授の指導の下、大学院生の大田友和さん(29)らが行った。

 研究では「XCR1陽性樹状細胞」をなくしたマウスを作成し、普通のマウスと比較したところ、樹状細胞をなくしたマウスは体重の減少、下痢・血便がひどくなり、腸炎の悪化が観測された。腸管を調べたところ免疫細胞の一種「T細胞」が減少しており、残ったT細胞も活性化異常や細胞死が進んでいた。

 改正教授は「XCR1陽性樹状細胞は腸管T細胞の生存を維持、活性化を支持し、腸炎の病態にブレーキをかけていることが分かった」と説明し、「人の難治性腸疾患においても同様のメカニズムが働いている可能性は十分考えられ、人の難治性腸炎にアプローチする上で、XCR1陽性樹状細胞は新たな切り口になっていく」と話した。

研究成果を発表する大田さん㊧、改正教授

研究成果を発表する大田さん㊧、改正教授