伊勢路旅⑭三重県北牟婁郡紀北町(1)
前号では尾鷲市を起点に東紀州を南北に結ぶ自動車専用道路を取り上げた。今週は舞台を隣町の紀北町に移すこととする。
紀北町は平成17年10月、海山(みやま)町と紀伊長島町が合併してできた町で、人口は約1万6000人。合併特例法の地域自治区制度を使い、旧町名が区名(海山区、紀伊長島区など)として残る自治区を持っていたが、先月31日をもって廃止された。今週は旧・紀北町海山区の魅力を紹介したい。
お薦めのスポットは尾鷲市と紀北町の境に位置する馬越峠(まごせとうげ)。熊野古道伊勢路で随一と称される約2㌔にわたる石畳と、それを取り囲む無数の尾鷲ヒノキの木々が美しい、いかにも熊野古道といえるスポット。
熊野古道の散策コースとして知られ、国道42号沿いにある「道の駅海山」を起点に尾鷲駅へと続く古道上には、旅の安全を祈願し子どもの夜泣きにも霊験あらたかとされる「夜泣き地蔵」や、初夏にかけてツツジ、秋には萩の花が楽しめる馬越公園展望台などがある。距離にして約5㌔、所要時間は約2時間30分とされる。
「道の駅海山」は、前号で紹介の紀勢自動車道の海山ICから車で数分の距離にある。雨が多い地域からか駐車場まで屋根付きの回廊が整備され、駅舎への移動に配慮された造り。
館内には熊野古道をはじめ観光や釣りの情報を発信するコーナーや、特産品の「あおさ海苔」や近隣の湖・白石湖で養殖される、かきなどの販売、地魚を使った丼や干物料理が食べられるレストランコーナーがある。
周囲が山に囲まれているため、山の幸が楽しめるイメージがあるが、熊野灘の海水と大台ケ原からの豊かな水の恵みを受け、海の幸が豊かな地域。美しい熊野古道と海の幸にふれられる、旧・紀北町海山区へぜひ。
(次田尚弘/紀北町)