和大ソーラーカーレースV 13年目の悲願

 ソーラーカーの性能などを競う国際格式レース「FIAオルタナティブ・エナジー・カップ ソーラーカーレース鈴鹿2016」(6日、三重県・鈴鹿サーキット)で、和歌山大学ソーラーカープロジェクトが4時間耐久のエンジョイⅡクラスで初優勝し、総合でも2位を勝ち取った。5時間耐久のチャレンジクラスでは、県立紀北工業高校ものづくり研究部が優勝し、県勢が大活躍を見せた。

 同レースは、バッテリーとソーラーパネルの電力を利用して走り続け、周回数を競う。ドライバーはメンバーと無線で情報交換し、残りの電気残量から速度や戦略を考える。

 発足13年目にして初のクラス優勝を果たした和大チームは、大学生・社会人チームによる4時間耐久レース「エンジョイⅡクラス」に出場。480㍗まで発電できるソーラーパネルを使用し、14チームが競った。

 和大チームは同大協働教育センター・クリエに所属し、学生24人が活動している。マシンは2年前に新たに製作した「それゆけ☆みかん号」。昨年は調整に時間がかかり、マシンの能力を発揮できず7位に終わった悔しさを踏まえ、今回は空気抵抗を少なくし、スムーズに走れるよう表面の凹凸をできるかぎり減らすなどの調整を重ね、より滑らかな形を追求する中で、コックピットを覆うキャノピーもマシンに沿う形に改良した。

 また、同レースで3連覇など豊富な入賞経験がある紀北工業高の藪下能男、中岡進両教諭をアドバイザーに迎え、大学近隣のノーリツプレシジョン㈱の駐車場や旧南紀白浜空港跡地などでも走行練習を重ね、電力消費を抑える走り方を研究した。

 レース本番は快晴となり、天気の変化を入念にチェックしながら走行。序盤はスピード調節がうまくできず、加速しすぎてしまったが、交代したドライバーが減速し、ペースを守って走り続けた。終了5分前、エンジョイⅡ6連覇のオリンパスRSが減速したところを抜き去り、最後は1周差でゴール。電気量のマネジメントにより、最後までペースを守ることができたのが勝因となった。

 和大チーム代表のシステム工学部3回生・請川遼さん(20)は「ことしはマシンを何とか優勝させたいと頑張った。1年かけて有言実行できて良かった」と笑顔で話していた。

 一方、紀北工業高チームは5時間耐久のチャレンジクラスに出場し、15秒差で惜しくも準優勝だった前回の雪辱を果たし、2年ぶり3度目の優勝。平成15~17年のエンジョイクラス3連覇と合わせ、2クラスを3度制する快挙となった。

 2チームを優勝に導いた藪下教諭は「自分が指導したチームが優勝するのはもちろんうれしいが、和大の学生たちが感動してくれたのが一番うれしかった。ものづくり部は20回目の出場で再び優勝できて良かった」と話していた。

初優勝を飾った和歌山大学チーム

初優勝を飾った和歌山大学チーム