和歌浦地区防災会に大臣表彰 県内13年ぶり
防災に関して顕著な貢献をした個人、団体に内閣府が贈る平成28年「防災功労者防災担当大臣表彰」に、和歌山市の和歌浦地区防災会(大道眸会長)が選ばれた。ことしは10人と11団体が受賞し、県内からの受賞は、15年の和歌山民間救援隊以来、13年ぶり2件目。表彰式は7日、東京都内で行われた。
同会は、平成7年の阪神淡路大震災発生を受けて防災の機運が高まったことをきっかけに発足。和歌浦地区の24自治会や各種団体のメンバーら約50人で構成されている。
県防災企画課によると、今回の表彰は、地区住民が一体となって参加する防災訓練や講演会、研修会の継続的な開催、要援護者マップの作成など、地域の防災体制整備のために同会が先駆的な取り組みを進めてきたことが高く評価された。
同会によると、講演会や研修会は、震災の経験者や県職員らを講師に迎えて年に2回ほど開いている他、各地区でも複数回実施している。
食料品や毛布などの非常用物資の確保や各地区の避難場所の運営管理、災害時に使えるトイレや水道などのライフラインの設置、避難場所への住民の受け入れ訓練といった、実際に災害が発生した事態を想定した取り組みも行っている。
さらに、行政が動く前に、災害に対して自分たちができる限りのことを準備する機能的な組織づくりも進めている。地域全体の避難訓練では、避難場所に避難するだけでなく、その場に一泊して避難生活も体験する。
地域全体が安全に避難できる取り組みを重視し、各自治会で会議を開き、それぞれの家で井戸から水を提供したり、近隣の高齢者を避難させたりと、役割を決めている。避難場所が高所にある地区も多いため、高齢者や子どもがスムーズに避難できるよう手すりも設置した。
表彰式には大道会長と植田龍彦防災会事務局長が出席した。大道会長(78)は「今までの苦労が報われた。地区を挙げて取り組んできたことは無駄ではなかったと思った。表彰を励みに、住民ともども今後も防災意識を高めていきたい」と話していた。