「露茜」で梅シロップ  中野BCと県が開発

酒造会社の中野BC㈱(海南市藤白)と県果樹試験場「うめ研究所」(みなべ町)は、同町産の梅の新品種を使用した赤い梅シロップ「ルビー色の果実蜜『つゆあかね』」(300㍉㍑、税込み1458円)を共同開発した。同社の中野幸治社長と同研究所の谷本好久所長は12日、県庁の仁坂吉伸知事を訪問し、開発の経緯を報告した。

同社と同研究所は農林水産省の支援を受け、「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」として平成25年から共同研究を行ってきた。

新商品に使用した梅の新品種「露茜」は、梅とスモモを掛け合わせ、果皮も果肉も鮮やかな紅色。その色素成分アントシアニンは抗酸化作用のあるポリフェノールの一種で、南高梅に比べて約60倍多く含まれている。

同研究所は、果実の樹上完熟よりもアントシアニンの含有量と着色度を高めるため、やや未熟な果実を収穫し、密封状態でエチレン処理する追熟処理の特許技術を施した。同社は、鮮やかな赤をシロップに残すため、果実を冷凍し、低温で2週間、手作業で攪拌(かくはん)してじっくり果汁を抽出する方法を考案。それぞれの技術が成功し、商品化まで約3年を要したという。

仁坂知事への報告で中野社長と谷本所長は、独自技術の開発に至る経緯などを説明。仁坂知事は熱心に耳を傾け、「苦労がよく分かりました」と開発の労をねぎらった。

中野社長は「露茜を使った梅酒やジャムなども開発し、これからも新しい和歌山の味を提案したい」と今後への意欲を話していた。

「つゆあかね」は1500本限定で、同社のオンラインショップや社内売店などで販売中。

「つゆあかね」を手にする仁坂知事(左から4人目)、中野社長(同3人目)、谷本所長(同2人目)ら

「つゆあかね」を手にする仁坂知事(左から4人目)、中野社長(同3人目)、谷本所長(同2人目)ら