伊勢路旅(37)三重県伊勢市

前号まで松阪市における紀州藩に縁のある方々の功績と街の魅力について取り上げた。今週からは伊勢路に話題を戻し、伊勢神宮の門前町である三重県伊勢市を紹介したい。

三重県伊勢市は県の南東部に位置する人口約12万9000人の市。古くから伊勢神宮の門前町として栄えたことから「神都」と言われ、現在も伊勢志摩エリアの観光の起点とされている。

夫婦円満や良縁成就のパワースポットとして知られる夫婦岩は伊勢市二見町に位置する。「お伊勢まいり」が大衆化した江戸時代初期、人々はまず夫婦岩がある「二見興玉神社」を訪れ「二見浦(ふたみがうら)」で禊(みそぎ)を行い心身を清めて神の領域へと入ったとされ、それを「浜参宮」という。

古式にのっとったお伊勢まいりとしてここを訪れて伊勢神宮へと向かう参拝者も多く、現在は禊の代わりに、二見浦で収穫される海藻で作られたユニークな御幣でおはらいを受ける。

夫婦岩は古くから日の出の遥拝場所として親しまれてきたことから、ガイドブックなどで岩と岩の間に御来光を拝む写真を思い浮かべる方も多いだろう。沖合約700㍍には興玉神石(霊石)が鎮まり、夫婦岩は興玉神石と日の出を遥拝する鳥居とみなされるという。

向かって左側の男岩は高さ9㍍、女岩は高さ4㍍。それぞれを結ぶ大しめ縄は1本当たりの全長が35㍍あり岩の間隔は9㍍。男岩に16㍍、女岩に10㍍張られている。年末にお正月を迎える準備などと題し、大しめ縄の張り替えが報道されるが、5月5日、9月5日、12月中旬の土・日曜の年3度行われている。

夫婦岩の間から日の出を拝めるのは5月~7月ごろ、秋から冬にかけては満月を拝むこともできる。お伊勢まいりの際はぜひ訪れてみてほしい。

二見浦に浮かぶ夫婦岩

二見浦に浮かぶ夫婦岩

(次田尚弘/伊勢市)