3連覇で人気上昇 里山のジビエバーガー

地元食材を使った自慢の逸品が競い合う「全国ご当地バーガーグランプリ」は6回の歴史を重ね、ことし大会初の3連覇を達成したのが、パン製造業などを手掛ける広川町の㈱カワ(川良弘社長)。昨年までの「紀州梅バーガー」に代わって投入した「里山のジビエバーガー」は、古座川町産の鹿肉や紀州備長炭を使用したおいしさと、日本一になった評判の後押しで人気が高まっている。

カワは、古座川町内で処理した「清流鹿」を使ったジビエバーガーを平成27年秋に発売し、1カ月で約6000個を売り上げる商品となった。3連覇が懸かったことしの「とっとりバーガーフェスタ2016第6回全国ご当地バーガーグランプリ」への出品に合わせ、ジビエバーガーを改良して「里山のジビエバーガー」が誕生した。
古座川町と共同開発した同商品は、高タンパクで低脂質の鹿肉パティと揚げたタマネギ、香ばしい焼きチーズなどを、紀州備長炭を練りこみ16種の穀物を使用した黒いバンズで挟んでいる。ジューシーさを出すため鹿肉には豆腐を加え、ソースは、鹿肉とトマトのラグーソース、三宝柑とユズを加えたマヨネーズの2種類で味を際立たせた。

川社長は「受賞歴があることで一層厳しくなる審査に対し、絶大な魅力のあるバーガーを作ろうと思った」と、3連覇に挑んだ開発への思いを話す。

10月上旬に行われたグランプリでは、来場者の人気投票に加え、食や地域おこし分野の有識者による試食・書類・プレゼンテーションの審査が行われた。「おいしさとストーリーを兼ね備える」ことで高いポイントを得ようと、カワ本社企画室の今西廣典さんと同町役場産業建設課の細井孝哲さんは、コンビで息の合った1分間のプレゼンを行った。

「いただきます!」から始まるプレゼンは、古座川町では年間1300頭もの害獣が駆除されながら、その多くが流通することなく廃棄されている現状を伝えながら、消費を加速する「おいしさ」と「販路」の確保が必要と説き、豊かな自然と命の大切さを表現するご当地バーガーが「里山のジビエバーガー」であると訴えた。

大会の2日間で1500食を売り上げ、2位に約700ポイント差の2399バーガーポイントを獲得しての3連覇。さらに、新商品で3年目の挑戦をしたことが評価され、昭文社編集長が選ぶ「昭文社まっぷる賞」も受賞した。

10月下旬には、川社長と古座川町の西前啓市町長が県庁の仁坂吉伸知事を訪問し、快挙達成と開発の苦労などを報告した。試食した仁坂知事は「鹿肉のかみ応えに野趣を感じる。大変おいしい」と笑顔で語った。

和歌山の里山の恵みがぎっしりと詰まった「里山のジビエバーガー」は1個483円(税込み)。パン工房カワ各店で好評発売中。

里山のジビエバーガー

里山のジビエバーガー