電車からの避難訓練 南海電鉄で雄湊小ら
電車に乗車中の地震発生を想定し、南海電鉄の和歌山市内の路線で22日、避難訓練が行われ、市立雄湊小学校(川本美紀校長)の1年生と6年生や同社社員、市地域安全課の職員ら約100人が参加し、車内からの避難を体験した。
同社はこれまでにトンネル内や関西国際空港連絡橋などで訓練をしており、沿線の避難場所の一つが同校であることから、今回は共同で訓練を実施した。
参加者は和歌山市駅から電車に乗り、和歌山港に向かって出発。途中、地震が発生したと想定し、踏み切りで電車を停止させ、津波から逃れるために避難を開始した。
運転席の前方ドアを開けてはしごを掛け、児童ら乗客は1人ずつ降りた。1年生の児童は不安定なはしごの上を慎重に進み、線路に降りると安心した表情で6年生と手をつないで線路脇に退避。車いすの乗客を降ろす訓練も行い、乗客は運転手の背中に背負われて線路に降りた。
乗客全員が電車から無事に降りると、避難場所の同校に向かって歩いた。全員が避難できたのは電車が停車してから47分後。同社運輸部の齋藤俊也運転保安課長(43)は「この地域には50分程度で津波が来ると予測されているので、実際の災害時であれば助かるかどうか分からない時間だった。私たちは地震とは常に背中合わせであると思っておいてほしい」と講評した。
訓練を終えた1年生の瓦間咲さん(7)は「はしごは落ちそうで怖かった。きょうのことを覚えておいて、できるようにしたい」、6年生の土井美咲さん(11)は「電車での避難はドキドキした。はしごを使ったり線路を歩いたり、リアルな体験ができたと思う」、齋藤課長は「多くの人の協力があって無事に訓練ができた。これを機に防災意識を高めてもらえたら」と話していた。