海南初の地域おこし協力隊 冨上さんが奮闘
地域の農水産物を販売するなどして、地域活性化を目指す海南市下津町大崎の農水産物直売所「げんき大崎館『かざまち』」で、本年度、同市で初めて採用された「地域おこし協力隊」が働いている。採用されたのは湯浅町出身の冨上(とかみ)史恵さん(34)で、採用に当たって大崎へ移り住んだ。「かざまち」を運営する市民団体「げんき大崎」(山中誠也会長)のメンバーと活動を共にしている。
大崎は大崎湾の自然の良港を抱えた港町。海運業、漁業、わかめ養殖業、農業(主にミカン)などの産業がある集落で、海と山の幸に恵まれている。地区内でも多くの地域おこしの事業が行われているが、さらなる発展をと同市は協力隊を募ることにした。主な業務は「かざまち」の運営や企画、販売、販路拡大などの他、地域の活性化や課題支援、農水産物の第6次産業化など多岐にわたる。
冨上さんは移住する前は和歌山市和歌浦中に住み、ハンドメードの服飾雑貨の制作の他、妹背山で採れるドングリを用いて「妹背山どんぐり茶」を作ったり、アコーディオンを演奏したりするなど幅広い経験をもつ。
「昔から畑仕事がしたかった」と、土を触ることができる場所を探していたところ、げんき大崎の松江照代さんと出会い、協力隊の募集を知り、応募。採用が決まると大崎への引っ越しを決めた。「協力隊に選ばれた時はうれしくて、引っ越すまでわくわくしていました。晴れ晴れしい気持ちでしたね」と笑みを浮かべ、委嘱された10月1日から「かざまち」の運営などに励んでいる。
大崎で暮らし、「豊かな資源がたくさんあるまち」と良さを話す。協力隊として「地域の方が主役となるイベントを開きたい。外から来てくれた人も地域の人も盛り上がれるイベントを」と展望を話し、「ハーブ園をつくり、育ったハーブを使ったワークショップもいいですね」と意欲的に地域活性化の策を企てている。
山中会長(53)は「若い方が移り住んでくれて地域の刺激になりますね。大崎に新しい風を吹かせてくれれば」と期待している。