被災地にミカンを BBSら活動6年目に

青年ボランティア活動に取り組む和歌山市などの有志5人が、東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市を訪問。恒例となった有田みかんを届け、一緒に体を動かし楽しい時間を過ごした。震災から6年近くがたち、被災地では活動に区切りをつける支援団体が多い中、両者の結び付きは深くなりつつあるという。ミカンを届けた県BBS連盟会長の高垣晴夫さん(54)は「人と人のつながりが生まれているのを感じます。支援ではなく、今後は交流を重視し『私たちの問題』として活動を続けていければ」と話している。(写真は訪問メンバー提供)

和歌山のミカンを食べて元気に冬を過ごしてもらおうと、訪問はことしで6回目。市青年団体協議会や県青少年育成協会、県観光連盟協力のもと、震災があった年にはストーブを、翌年以降は仙台市や福島市などに毎年ミカン計約1㌧を届けている。

5人はトラックに60箱分のミカンを積んで12月28日夜に和歌山を出発。翌29日に石巻市門脇の上釜会館に到着した。交流会には、宮城県BBS連盟の呼び掛けで集まった住民約70人が参加。「パンダ大集合!みかん狩り運動会」と題し、ミカン運びのリレーや、しゃもじや頭の上にミカンをのせた徒競走、制限時間内にミカンの皮を長くむく競技など、子どもから大人まで大盛り上がり。さっそく獲得したミカンをおいしそうに頬張る人もいた。

現地では、有田みかんの入荷が冬到来のニュースとして伝えられるほど有田みかんの知名度は高く、和歌山のメンバーはミカンを4等分する「和歌山むき」も紹介。参加した伊藤まなちゃん(11)は「和歌山のミカンは甘くておいしい」。半沢あおいちゃん(9)は「頭の上にのせて運ぶ競争は難しかったけど楽しかった」と元気いっぱいだった。

娘の桜唯(るい)ちゃん(3)と参加した尾形藍さん(35)は「娘が1歳の時からこの運動会に参加しています。娘の成長も同時に見ることができる機会をいただきうれしいです」、現地のBBS会メンバーで、大学生の天野冬望(ふゆみ)さん(20)は「ミカンの量にびっくりしました。皆さんが楽しそうに参加している姿を見られてうれしい。次もぜひお手伝いに来ます」と話していた。

現地訪問は2度目という紀の川市の大田裕之さん(32)は「津波で被災した現地をこの目で見ると、災害の恐ろしさを痛感する。私たちの地域でも大地震に備え、学ぶことはたくさんあります。和歌山での防災意識の向上に努めたい」と話していた。

宮城県名取市には、熊野三社の写し霊場とも言われる名取熊野三社があるなど縁も深いことから、今後両県が交流する企画も検討されているという。

ミカンの皮むきの長さを競った

ミカンの皮むきの長さを競った