食でもてなすインバウンド 対策セミナー
増加する外国人観光客の現状を知り、県の魅力を発信する方法を考える県主催のセミナー「『食』でもてなす、インバウンド対策セミナー」が1、2日の両日、田辺、和歌山の両市で開かれ、観光業者や飲食店関係者ら2会場合わせて約100人が学んだ。
和歌山市でのセミナーは県民文化会館で開催。観光庁外客受入参事官室の永田友和専門官が、国内におけるインバウンド(訪日外国人旅行)の現状などについて、統計データを紹介しながら解説した他、ムスリム(イスラム教徒)観光客を積極的に受け入れている白馬五竜観光協会(長野県)の佐藤文生事務局長が、ムスリム観光客への接し方を紹介するなど、さまざまな講演が行われた。
永田専門官は、平成27年に訪日外国人数が出国日本人数を45年ぶりに上回り、28年には訪日外国人数が2403万人を記録するなど、インバウンドが急増してている現状を紹介。外国人宿泊者の構成に見られる各県の特徴も紹介し、県内は香港からの宿泊客が24%を占め、非常に多いと指摘した。
県内の外国人宿泊者数は27年が約43万人で全国21位だが、ビジネスホテルの客室稼働率は約64%で全国41位にとどまっているという。永田専門官は、観光庁の予算が急増している状況にもふれ「政府も観光に力を入れている。かつての観光立国から観光先進国へ目標も変わってきている」と変化を強調した。
佐藤事務局長は「習うより、慣れよ~ムスリム受入の最前線から~」と題して講演。「イスラム教を信仰するお客さまを受け入れるのであり、イスラム教を受け入れるのではない」と述べ、「ムスリム」にとらわれ過ぎないよう注意を促した。
品数が多い日本食はムスリム観光客に好評だといい、日本食を提供する際の注意点として、「できるだけ原料の姿が分かるように」と話し、「中身が見えない茶碗蒸しはよく説明を」「みそ汁は糖尿病予防に効果があると伝えれば何杯も飲んでくれることもある」などと実例を交えてアドバイス。イスラム教は戒律が厳しいことで知られるが「気を使い過ぎると相手も困る。人懐っこく、明るい人が多いので、積極的にコミュニケーションを取ってほしい」と呼び掛けた。