企業の技術支援強化へ 県と産総研が協定
県と国立研究開発法人「産業技術総合研究所」は14日、県内企業の技術開発支援に協力して取り組むことなどを内容とする連携協定を締結した。都道府県が同研究所と連携協定を結ぶ例は5件目で、連携による県内産業の振興に期待が高まる。
同研究所は平成13年に設立された科学技術分野の研究開発機関で、東京都と茨城県に本部があり、全国10カ所の研究拠点で約2200人が最先端の研究を行っている。県内企業からの技術開発に関する相談にはこれまで、県工業技術センター(和歌山市小倉)が対応してきたが、さらに対応可能な範囲を広げようと、同研究所との連携協定締結に向け、約1年前から協議を続けてきた。
協定により今後は「材料・化学」「計測・制御」「IoT・3Dデータ活用」の三つの技術領域を中心に、県と同研究所が連携して企業支援を加速させる。同研究所は、共同研究などを通じた県内企業への研究開発支援や、技術課題への助言、指導などを実施。県は、地域にありながら全国や海外と取引を持つコネクターハブ企業やオンリーワンの技術で特定のニーズで高いシェアを持つ企業の発掘や支援を進める。
締結式は同センターで行われ、仁坂吉伸知事と同研究所の中鉢良治理事長が協定書に調印した。
仁坂知事は「工業技術センターを通じていろいろな技術が生まれてきたが、われわれだけでは限界がある。産総研にはきら星のごとく研究所がたくさんあり、(協定は)大変な名誉であると思っている」と話し、中鉢理事長は「大変喜ばしく思っている。キラッと光る和歌山ならではの産業を育てたいと考えており、多くの企業が全国や海外で活躍することを期待している」と連携協定による県内企業の成長に期待を示した。
協定の期間は平成32年3月末までで、以後は更新制となる。和歌山の他にすでに同研究所と協定を締結しているのは茨城、佐賀、香川、福島の4県。